【女子未来大学 授業レポート】老舗料亭 濱田家女将に教わる、いつまでも上品で美しい女性でいるための美容学〜前編〜(書き起こし)

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今回は、100年以上の歴史を誇る老舗料亭「玄冶店 濱田家 (げんやだなはまだや)」を会場に、女将の三田啓子さんから「女性の本当の美しさとは?」「家族の在り方で大切なこと」「日本の心やもてなしを知り、それを日々に活かしていくためには?」などのテーマで、女将流の美容哲学を教えて頂きました。

第1部では、「今日の笑顔にこだわり続けたら、今の自分があった」と題し、三田さんの経験やこだわり、大切にしていることなどをお話しいただきました。
第2部では、モデレーターとして株式会社エスプレシーボ・コム代表取締役の安東徳子さん、女子未来大学ファウンダーの猪熊を加えトークセッション形式で三田さんの美しさの秘密に迫りました。
 
 

第1部講演「今日の笑顔にこだわり続けたら、今の自分があった」


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安東 モデレーターを務めさせていただきます、安東です。
これから女将の美しさについて、色々お聴かせいただこうと思っているのですが、やはり、学びの原点というのは、一流・本物に触れるということが大事だと思います。なので、今日、女将のお顔を拝見するだけでいただくものがありそうですよね。
 
第1部では、女将のこれまでを伺いたいと思います。「女将」として「奥さん」として「お母さん」として「ひとりの女性」としての三田啓子。最近は1人何役もこなしている方がいらっしゃいますよね?
ただ、三田さんの場合は少し違います。ただの「妻」ではなく、「美しい」がつきます。「美しい妻」「美しい母」「美しい女将」「美しい女性」。
この「美しい女将」三田啓子が生まれるまで、どのような背景があったのかを伺っていきたいと思います。
 
おそらく、生まれてからそのままでは“普通の綺麗な方”だったと思うのですが、ご縁あって女将という生き方に出会ったことが、ここまでのオーラを身につける要因になったのではないかと思います。
 
美しくなるために大事なものは何ですか?と女将さんにお聴きしたら、3つのことが出てきました。
「ポジティブな姿勢」「チャレンジする姿勢」「学ぶ姿勢」ということですが、最初に出てきたのが「ポジティブな姿勢」。女将は「ポジティブな姿勢」という心の問題をどのように考えていらっしゃいますか?
 
三田 さっきから美しいと言って頂いて恥ずかしいのですが、私の体験が少しでも、これから先の支えになればいいなと思い、今回は「女将塾」というおこがましい会を開かせていただきました。
 
ポジティブというのは、私は福岡の出身なので楽天家なんですね。なんでも良い方に考えて、あんまりクヨクヨしない。悪いことでも、見方を変えれば良い方に考えられるという考え方でやってきたのが、ポジティブな姿勢かなと思っております。
 
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安東 その考え方が女将の表情とか雰囲気につながっているということですよね?
 
三田 たった一つの人生ですから、幸せで美しく過ごしたいなぁと。良いものを見て良い経験をして、あぁ楽しかったと思えるような人生にしたいなという気持ちがあるだけで。
辛いことも、楽しいことも、悲しいことも、いろいろ積み重ねて、最後にいいなぁと思える人生があったらいいなと思いながら毎日過ごしています。
 
安東 2番目の「チャレンジする姿勢」。美しさを保つためには努力は必要だと思うのですが、何かしていることはございますか?
 
三田 美容的なことですか?私も好奇心が凄く旺盛なので、2人の娘のアドバイスを聴きながら、ママ友達の話も聴きながら、良いと言われていることは、自分のできる範囲のことはチャレンジしております。
 
安東 皆さん聴きました?良いと言われていることは何でもやってみようと。このチャレンジな姿勢が大事なんですね。
 
三田
 自分で試してみないと、それが良いかどうか分からないので。勝手な判断だけはやめようかなと。

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安東 そして、女将を通じて磨かれたというところに繋がると思うのですが、3つめの「学ぶ姿勢」。
 
三田 やはり、お客様もいらっしゃいますので、のんびり構えてられないので、色々と学ぶことが多いですね。所作も教養も経済も学んでおかないとお客様の話についていけないことが多いので、学ぶことは常に心がけております
 
安東 女将という仕事が学ばせてくれるということですかね。お客様が先生でもあるということですね。
 
三田 これまでやってこられたのも、お客様や周りの方々の支えのお陰だと思っています。
 
安東 しかも、濱田家さんのような一流料亭ですと、いらっしゃるお客様も一流ですもんね?
 
三田 最初嫁いだ時は素人でしたので、ご年配のお客様の顔は皆同じように見えて、名前とお顔が一致するまで大変でした(笑)。
やっぱり、お偉くなる方って雰囲気が似てらっしゃるんですよね。ですので、失敗ばかりしていました。
 
安東 では、お客様を間違えてしまったりも。
 
三田 そうですね。「はじめまして」と言うと「何回も来てるよ」と言われてしまったり、「お久しぶりです」と挨拶すると「今日初めてだよ」と言われてしまったり、はじめは本当に大変でした。
 
安東 女将でもそういった失敗を重ねていらっしゃったのだと、少し安心しましたね。
 
 
 

好きこそ物の上手なれ。自分のできる範囲で楽しむ


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安東 続いて、“福岡”というキーワードが出てきましたけれども、女将さんは福岡でお生まれになって、幼少期は明るい性格だったのですか?
 
三田 明るい家庭だったので。
 
安東 ポジティブな考え方の中には育ったご家庭の影響もある?
 
三田 あると思います。父も人の悪口を一度も言わないような家庭で育ったので。
 
安東 女将さんのチャーミングさ、清らかさってお年を重ねても透明感のある感じがありますけれども、お父様も人の悪口を言わないとか、心のキレイな環境でお育ちになったっていうのも関係ありますか?
 
三田 色々な家族の形がありますので愛情も色々だと思いますが、私は実家の父や母に育てられてよかったなと思います。常に褒められましたね。「こういう子どもたちに囲まれて良かった」と。
 
安東 参加者の皆さんはこれから子育てをしていく方も多いと思うので、そういうところも参考になりますね。でも、人の悪口ってついつい言ってしまうこともありますよね?
 
三田 私も腹立つことはあるんですよ。父に愚痴を言ったりすると「それは自分が悪いんじゃないか。だから自分のことを反省してみなさい」と言われたりしたんです。父は職業軍人だったので、まっすぐなところがあったのだと思います。
 
安東 ここがポジティブな考え方のベースになったのかもしれませんね。
福岡で小学校・中学校・高校とお過ごしになって、大学から東京の青山学院ということで。
 
三田 楽しい学生時代でしたね。この頃ファッションやおしゃれに芽生えましたね。
 
安東 女将はどんな女子大生ファッションだったんですかね?
 
三田 ミニスカートですよ。1970年くらいのファッションかな。
 
安東 皆さん、いま計算していますね(笑)。
では、最近のファッションは、女将の大学時代のファッションとつながるような感じは?
 
三田 でも、微妙に違うんですよね。
 
安東 大学を卒業して、一度福岡にお戻りになるんですよね?お仕事は何を?
 
三田 日本航空です。私たちの時代は、働くということが認められないというか、女の子はお嫁さん修行して嫁ぐというのが普通だったので、就職は隠れてした感じでした。当時は今みたいに簡単に海外に行けない時代だったのですが、どうしても海外に行きたいと思いましたから日本航空に就職しました。ただ、父が飛行機事故とかも心配したので地上職で働いておりました。
 
安東 お仕事と自分の夢を重ねて職業選択をされたんですね。日本航空の仕事も接客業ということで、ここで美しさも?
 
三田 美しさよりも若さがございましたよ(笑)。日本航空もサービス業ですので、みっちり教育を受けまして、それがあったからこそ、女将がスムーズにいくようになったのかなと思いますけど、それでも2年間くらいはコチコチだったらしくて、お客様からも「やっとまともになったね」と言われるくらいでしたので。
 
安東 日本航空での時代は、女将になるためのもう一つの学校だったということですかね?
 
三田 そう思いますね。
 
安東 おもてなし、接客という基本が身についた経験だったのですね。女将の先輩にも素敵な女性がいらっしゃったんじゃないですか?
 
三田 日本航空には、美しい先輩がたくさんいましたので、今でもお付き合いがございます。綺麗な方を見ると、自分も刺激を受けますよね。頑張ろうと思えます。
 
安東 当時はずっと福岡にいようと思っていたのですか?
 
三田 福岡で結婚しようと思っていたのですが、全然お嫁にいけなくてですね(笑)。
 
 
 

日本のこころ。美しい和装の条件とは?


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安東 福岡時代にもお着物はお召しになっていたんですか?
 
三田 日本舞踊、お茶、お華をやっていたので着物は好きでしたね。今考えれば、そういう道ができてたのかなというくらい。着物と和をやっていて、サービス業に就いて女将になれたという、やってきたことが自然と女将に繋がってきたのかなと。
 
安東 私は時々仕事でこちらにお邪魔するんですけど、女将が洋服でいらしたなと思っても、ちょっとするともうお着物をお召しになっていて、こんな短い時間で着られるんだと思っているんですが
 
三田 そうですね。5分くらいで着ますね。
 
安東 美しい和装の条件をお聴きしたいんですが、お召しになる時に気をつけていることはあるんですか?
 
三田 首元をきちっとして、キリッとするようにですね。
 
安東 啓子流の着こなしがあるわけですね?
 
三田 私は襟元を揃えて白い襟にして、清潔感を見せたいなと。
この白は、反射板の役割もあって、少しでも顔を明るく見せられるように。やっぱり、くすんだ色よりいいですからね。
 
安東 自分に似合う色とかあるんですか?
 
三田 やっぱり好みはありますよね。カラーリングをやっている友達から聞いたんですけど、着物の場合は襟元に白があるから、多少似合わない色でも間の白で緩和できるらしいんです。なので、あまり合わないと思う色でも着こなせるようになるんですね。
ただ、その時のお天気とか気分でも着物は変わりますし。なので、今日もどれを着ようとか決めてなかったんですね。
 
安東 私たちは大事な用事の時は前の日から全部決めて、朝起きてみたら雨が降っていたとかありますけど、その日の雰囲気をいただきながら、その日の装いを決めるのがいいんですかね。
 
三田 そうですね。今日は若い素敵な女性たちのパワーで光り輝いているだろうから、私も輝いてみようと、輝きを入れました。
 
安東 文様とかは何か特別なものですか?
 
三田 これは特別なものではないのですが、この帯は100年くらい前の帯で。セットで買ったわけではないのですが、偶然持っていた着物と柄が似ていて。着物は手入れさえすれば何年も着られますからね。
 
安東 「今からお着物楽しんでみたいな」という女性は、どういうところから入っていけばいいでしょう?
 
三田 お好きなものを、これを着たいっていう気持ちが一番大事じゃないかな。好きこそ物の上手なれっていうのは着物でもそうじゃないですかね。特に難しいことは考えなくていいと思います。
 
安東 女将は好きな紋様とかあるんですか?
 
三田 私、卯年なのでよくうさぎを買っちゃうんです。着物も洋服も自分が楽しめなくちゃ着てて楽しくないじゃないですか。
 
安東 うさぎのお着物だったり、集める喜びっていうのもあるんですね
 
 
 

女将の美しさのこだわり。影響を受けた女性。

 
安東 続いて、美しさそのものの条件ということで、女将の美しさをつくっているこだわりということで、影響を受けた方がいらっしゃるとのことなのですが。
 
三田 知っていらっしゃる方いますか?有名なデザイナーで森英恵さんとかと同じような世代のデザイナーで花井幸子さんという方なんですが。
 
安東 お会いしたことは?
 
三田 あります。
 
安東 この方から女将は何を?
 
三田 私が若い時にお客様としてお出でになったことがあって、すごい光り輝いてらっしゃったんですね。すごい魅力的で。
ですので、どういう風にしていらっしゃるんですか?って聴いたら、「だって、お金掛けてるもん」とおっしゃるんですよ。やっぱり、お金掛けないと、年を召されても綺麗でいるというのは難しいのかなと思って、自分のお給料が入ってできる範囲はお金を使ってみようと。本当に磨き上げられた肌の美しさでしたね。
 
安東 やはりお手入れが大事なんですね。
 
三田 年をとってから皺が増えたといっても間に合わないと思います。若い皆さんくらいの時から、少しずつ興味をもたれることが大事かな。

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誰にでも同じように“平ら”に接していきたい。

 
安東 女将になってからご苦労もあったと思うのですが、辛いことがあってもポジティブに変えていく姿勢というのは、どういう風になされていますか?
 
三田 仕事ですので、つらいこともあるんですが。
お客様のお言葉で「相手を変えようと思ったって無理なんだよ。自分が変わらなくちゃいけないんだよ」と言われて、せっかくだったら、人の良い面を見ながらいく方が楽じゃないですか?なので、そういう風に考えながらいきたいなと思いました。
 
嫌なことがあるときに、自分も嫌な表情になってしまっていてはつまらないじゃないですか?
やっぱり美しくいるためには、一緒になって張り合っていきたいし、いがみ合っていたら自分の顔も嫌になっちゃうので、そんな顔には私はなりたくない。
 
安東 嫌な人がいるのはしょうがないけれども、それで嫌な顔をしていたら自分もそうなるのは嫌だと。嫌な人の影響を受けてしまうと美しくなれない。
 
三田 楽しいことをしていると顔もハッピーになりますけど、嫌なこととか人の悪口言っているとどうしても眉間に皺がよりますよね?
それが続くと本当に難しい表情ばかりになってしまうと嫌じゃないですか?
ほうれい線も明るいことしてると自然に上がってきますけど、嫌なことしてると下がってきちゃう。表情が暗くなるのは嫌ですよね。だから、自分の為に良い方に考えようと。
 
安東 一日一日、女将がどういう表情で来たかの積み重ねが、今日なわけですね。
 
三田 泣くことも沢山ありますが、それを糧にね。どっしりしていた方が大きく花が開くじゃないですか。
先週、ソウルにいて桜が凄く綺麗だったんです。東京で見れないけどソウルで見れて良かったと思っていて。でも、東京戻ってきたら桜が綺麗で。ソウルとはやっぱり違うんですよね、何が違うのかと思っていたら幹が違うんです。向こうは細くて、桜は咲くんだけどそれだけ。東京は太い幹がしっかりあって美しさが違うんです。
だから、色んなことがある方が大きく開いて綺麗に咲くんじゃないかなと思います。
 
安東 幹の太さに気づくところがまた視点が素敵ですね。
年輪を重ねていったからこその美しさですね。また、重ねるだけではなく、そこに美しさを乗せていかないといけないんですね。それが、ネガティブなものではなく、ポジティブな姿勢で笑顔を浮かべながら
 
三田 なかなかそれだけでは乗り切れないこともあるかもしれませんが、時間が解決してくれるんじゃないですかね。私の友達が「人生は問題集よ、解けない問題はないから」って言ってました。そういう色んな人の言葉を噛み締めながらね。
 
安東 その答えは一人ひとり違うんでしょうけど、その答えはちゃんとあるって女将に言っていただけたことで、今日来ていただいた皆様も元気に帰れますね。
 
安東 2番目の「チャレンジする姿勢」ということですが、どういうお手入れをしているかなんですけども、エステとかも通われるんですか?
 
三田 エステも通いますし、美容院に行く時には、美顔器を置いてすっぴんで行くんです。髪を結っている間にずっと当ててましたね。今は、美容院が人形町から銀座に移ってしまったので、銀座にすっぴんで行くわけにはいかないので、家で毎日やっております。

やっぱり継続は力なりで、目に見えないからって諦めちゃいけないですよね。何年か先には結果が出てくると思います。目に見えないからって諦めないで。「何事も諦めない」が私のモットーです。あと、「継続は力なり」が私のモットーです。
やっぱり、かわいいおばあちゃんになりたいなと。
 
安東 今までですごく効果があったというものはありますか?
 
三田 見えないからよくわからないです。
 
安東 なるほど。継続しているから複合的な結果で、これというものはわからないんですね。
 
三田 「あなた何の化粧品使っているの?」って聴かれるけど、いっぱい使っているから分からないんです(笑)。
 
安東 情報源は2人の娘さんやお友達など口コミが多いですか?
 
三田 そうですね。雑誌の取材が入った時にメイクさんにも教えて頂きますし。色々勧めていただいてすぐ買いましたけど。
 
安東 すぐ聴いて、すぐ買って使い続けるという、新しい美容への興味が女将ビューティーの秘訣ですかね。
 
安東 最後に学ぶ姿勢ということで、大旦那様やお客様に色々教えて頂いたりということだと思うんですが、“平ら”ということを意識なさっていると聴いたのですが。
 
三田 人を見て態度を変えたくない、どんな方にでも同じように接したいというのがモットーでございます。お偉い方がたくさんお出でになられますけれども、昔からのお客様であろうと、新しいお客様であろうとフラットに接していこうと。平らに接していきたいなと。
 
安東 平らな姿勢というのが心の清らかさに繋がっていくんでしょうね
 
三田 ここにお出でになる素晴らしい方達って、本当に頭が低いですしスタッフにも優しいお言葉を掛けていただきます。やはり、お偉い方というのはそうなんだなと思いましたので、私も学んでいきたいなと。
 
安東 そういうお偉い方ほど、平らな方が多い?
 
三田 穏やかで平らな方々が多いですね。
 
安東 では、平らではない方に接した時には「あぁ心が大きくないんだな」と自分に言い聞かせて心を落ち着けることにも繋がるんですね
 
三田 「かわいそうに」と思っちゃいますね。
 
安東 そうやって切り替えていらっしゃるんですね。
 
安東 濱田家さんの女将さんと言うと綺麗で当たり前のように思われますけれども、こういう具体的なお話を聞くと、やはり色々なご苦労をなさっていたりしますけど、美しさのベースはポジティブなところにあったり、日々の細やかな努力を積み重ねて、今の三田啓子さんがいらっしゃるということですね。
 
 
(後編につづく)