女子未来大学 事務局長 青山雅子(以降、青山):お時間になりましたので始めさせて頂きます。『どこでも働ける時代。人生の質が劇的に上がるワーケーション超入門講座』にご参加頂きまして、皆さん本当にありがとうございます。冒頭に女子未来大学について説明をさせて頂き、その後鈴木円香さんに60分ほどトークセッションをして頂きます。その後ワークシートに基づいてワークショップを行いまして、最後にシェアタイムと質疑応答をまとめてさせて頂けたらと思っています。このような流れで本日は進めていきます。皆さんどうぞよろしくお願いします。
ではまず最初に私から女子未来大学について説明をさせて頂きます。社会人女性の学びの場であり、女性が豊かに生きていくために自由に学ぶプラットフォーム大学として2014年11月に設立、スタートした女子未来大学です。今年で8年目になります。ファウンダーは3人です。自己紹介が遅れましたが、私は事務局長をしております青山雅子と申します。本日はファウンダーの猪熊真理子、駒崎クララも参加させて頂き、スタッフとして梶川美穂、大塚あかりも参加しております。このメンバーで女子未来大学を盛り上げておりますので、皆さまどうぞよろしくお願いします。
そもそも立ち上げた経緯をお話をさせて頂ければと思います。これは女性に対してなんですが、例えばこんな悩みを抱えていませんか?「〇歳には結婚しているはずだった」「今の生活はなんとなく充実しているけれど、なんとなく不安」「私の人生これでいいのかな」「自分の周りにこうなりたいと思えるロールモデルがいない」等。こういった悩みや不安を抱えている女性が多いと感じ、この女子未来大学を立ち上げられました。ちなみに私も事務局長をしていますけれども、このうち2つはだいぶ共感するところもあります。今はだいぶ解消されたんですけれども、中でも「私の人生、働き方、生き方はこれでいいのか」というのは現在進行形でいつも悩んでおります。なので、この女子未来大学で解決していけたらと思っていつも企画をしております。
青山:女性のライフスタイルが多様化しているってよく耳にするしそう言われているんですけれども、実際にどういうことが世の中の女性たちの中で起こっているかを少し説明させて頂けたらと思います。今の60〜80代の女性、40〜60代の女性、20〜30代の女性に区切ったときの価値観等を記載させて頂いています。60〜80代の女性は結婚して、子供を産み、家庭を守る。専業主婦が大半という価値観の中で生きてこられました。もちろんこの時代に結婚しないとか子供を産まない方もいらっしゃったわけなんですけれども、世の中すごく一元的な価値観でありとても生きづらい世の中だったと感じている人も多かったかなと思っています。それに対して40〜60代の女性は専業主婦だけでなく、ここで少し働く選択肢も増えてきた世代ではあるんですけれどもまだまだマイノリティーで、男性の5倍くらい頑張らないと仕事において認められないとか、まだまだ働く女性って理解が少ないし先人が少ない中での働き方の開拓をしてきたと感じています。一方20〜30代の女性は、女性が活躍すべき、女性が働くべきというのが当たり前のように言われているんですけれども、働く選択肢が増えていく中で自分らしい生き方とか自分らしい働き方への迷いというのを抱えています。何が言いたかったかと申しますと、女性はこの数十年間の間に価値観が激変しているんです。女性の価値観だけでなく女性の働き方、生き方、暮らし方がすごく変わっています。これが男性との大きな違いであると感じています。まだまだ時代の変化の中で、女性の働き方も生き方も変化の渦中にあると感じております。
ライフコースの木って見たことある方もいらっしゃるかと思うんですけれども、心理学でよく使われるものです。Google とかで「ライフコースの木」って検索すると出てくる図なんですけれども、縦軸が年齢になっています。学校を卒業して就職したら、次は結婚するのかしないのかという分岐点があり、また結婚したら専業主婦になるのか仕事と両立するのかという選択肢があったり。両立するのはいいにしてもここで子供を持たないのか持つのか。女性ってライフコース自体に分岐点があるんですよね。しかもこれは不確定要素というのがすごく多くて、必ずしも結婚しようと思って結婚できるかも分からないし、子供が欲しいと思っても子供を欲しいと思った年齢にできるかも分からない。自分が望むどういった道筋で行くか、その道筋を決めることすらも難しいし、その道筋を決めたとしても必ずしも予定通りにいくか分からないんですよね。女性の人生は不確定要素が多くて、なかなか自分のライフコースやライフスタイルを決めるのが難しいという悩みがあります。
選択肢が多いって一見幸せそうに見えるかもしれないですが、迷いとか不安というのを生んでしまうものでもあります。実際に現代の女性の中で起きていることとして、特になぜ不安になってしまうのかというところを要素分解してみますと、例えば1つ目に選択肢が多いって一見自由で豊かなように思えるかもしれないけれども、自分が選ぶ責任が伴ってきます。本当にこれを選んでいいのだろうかという迷いも生まれてくるし、過度に何か起こる前にいろいろと心配しすぎてしまう迷いや不安があります。2つ目にSNSの普及です。私もよくあるんですけど、バリキャリで海外で仕事をめっちゃ頑張ってて憧れるとか、友人が子供の写真をアップしてるのを見て「私子供産まなくていいんだっけ?」って不安になったり。昔ってそもそもこんなに生活が透けて見えるようなことがなかったので、現代の女性はそういったところで比較とか迷いが出てきてしまうという風に言われています。
青山:ファウンダーの3人が一番最初に大切にしたかったことをこのスライド1枚に示しているんですけれども、女性たちの人生、生き方、幸せって多様な選択肢があって多様な幸せがあるということ。でもみんなそこに不安とか迷いを感じている。じゃあ「どうしたら自分が、どんな風になったら幸せですか?」という答えは誰かに教えてもらうものでもないし、本人が導き出すしかないんですよね。「答えそのもの(Answer)を誰かに教えてもらうのではなく、自ら導き出せる力(How to think)を持つ女性を一人でも多く増やしたい」そんな想いを込めて女子未来大学を立ち上げました。そもそも「自分が幸せになるにはどうしたらいいですか?」って Google 先生に聞いても教えてくれないし誰も教えてくれないので、やっぱりこの答えを導き出す力(How to think) というのは、一生涯の中で何回も何回も自分か迷う時があったり変革期だったり、不安を感じることってあると思うんですけど、この力さえつけていればその都度迷うことがあってもその都度自分にとって最善の選択ができるような女性たちが増えていくのではないかと思います。これは一生ものの力になるということで、そういった学びの場であったり、そういったことを理解できるようなコミュニティを作りたいという想いで立ち上げられた女子未来大学です。
コンセプトは3つです。1つ目「女性が豊かに生きていくために自由に学ぶ」ということで、入学金もありませんし、カリキュラムもありません。皆さんが好きなときに興味のあるテーマを自由に学べるような場を設計しようと考えています。後でちらっと紹介しますが、本当に様々なテーマで授業をやってきました。2つ目「学びを通して創発するコミュニティ」ということで、この女子未来大学は主に社会人女性を対象として開講しているんですけれども、女性たちが持つ可能性を社会に還元できるための知識・教養・スタンス・スキル・経験などを自由に学べるということで、イベントやセミナー、ワークショップを開講しています。3つ目「多世代・多様な価値観の人から学ぶ」ということで、基本的には社会人女性を対象にしていると言いつつも、今回はワーケーションにご興味がある男性にもご参加頂いています。本当にありがとうございます。ちなみに過去にも男性にご参加頂いている機会はあります。今までに10~70代の方にご参加頂いたことがあり、普段は交流しない10代と70代が交流するとか、普段は価値観の違う例えばバリキャリ思考の方と専業主婦の思考の方が交流するとか、また今日みたいに同じ興味のあるテーマで集った参加者たちが多世代・多様な価値観から学ぶことで、自分にとって新しい学びや気づきが生まれると信じて開催しています。
学部は4つです。本日は「なりたい自分になる学部」ということで構成をさせて頂いています。基本的にいろんな授業をやっているんですけども、4つのどれかの学部に当てはめて展開しています。
現時点ではもう少し増えているかと思うんですけれども、過去の参加者は2,000名を突破していまして、特徴としては幅広い年代の女性が参加しているということと、基本的に会社員が多いんですが会社員だけでなくフリーランス、OL、主婦の方などいろんなご職業の方にご参加頂いています。
これが初回に開催したローンチイベント、こちらが最後に開催したリアルの授業なんですけれども、2020年2月以降はずっとオンラインで開催しています。こちらはごく一部なんですけど、様々な授業を行ってきたという紹介のスライドを入れさせて頂きました。
ここまで女子未来大学の説明をさせて頂いたんですが、お待たせしました。ワーケーション講座ということで、ここからは教授の鈴木円香さんにバトンを渡してお話をして頂けたらと思います。円香さんにスライドを準備して頂く間に私から簡単に円香さんの紹介をさせて頂きます。今日もお話しして頂くんですけど、円香さんとは五島ワーケーションで一緒にお仕事をさせて頂いています。円香さんが代表理事のみつめる旅に私が事務局としてジョインさせて頂いています。円香さんはワーケーションの先駆者で、まだ誰もがワーケーションをしていないときからワーケーションをされていて、且つ今日もご質問頂いているんですけれども親子ワーケーションもすでに経験済み。今日も特別に親子ワーケーションについてもお話頂きます。とにかく「ワーケーションといえば円香さん!」というくらい他でも引っ張りだこな円香さんに貴重なお時間を頂いてこの授業をして頂きますので、皆さんしっかり聞いて頂けたらなと思います。では円香さん、よろしくお願いします。
一般社団法人みつめる旅 代表理事 鈴木円香(以降、鈴木):ありがとうございます。とても持ち上げて頂いて恐縮です。今日は皆さんよろしくお願いします。どんな方が聞きに来るのかなと楽しみにしていたんですけど、20〜40代ぐらいの女性で普通に働いていらっしゃる方が多いと聞きました。普段行政や企業でワーケーションの話をすることが多いんですが、そこでやっているような硬いお話というよりは「一人の人間として、何でワーケーションをやるのがいいのか」という話に落ち着けていければなと思います。よろしくお願いします。
では雅子さんと2人で話しながらセッションを進めていこうと思います。今日の流れなんですけど、私たちは「一般社団法人みつめる旅」というちょっと不思議な法人名でやっているので「宗教団体ですか?」とか言われるんですけど、想いがあってつけた名前なので何でこういう名前でどういう活動をしているかということを少しお話しします。そしてワーケーションの本質、働く人というか働いてない人も含めて、ワーケーションって実はとっても良い影響があるんじゃないかと思っているので、本当に大事なところのエッセンスって何なのかなってお話をした後に、実際にワーケーションに挑戦してみましょうとなったときに最初からまあまあうまくいくポイントやこれだけ押さえとけばそんなに大きな失敗しないというお話しをして、最後に質疑応答のお時間を取れたらなと思います。
鈴木:ではまず不思議な名前の「みつめる旅」なんですけれども、この4人で活動しています。4人とも実は東京で本業を持っていて、4人とも五島が好きで仕方がないということで五島ファンでやっています。立ち上げたのは2019年の7月1日で、もうすぐ3年になります。メンバーは私が言い出しっぺで、その次に来てくれたのが日高誠人さん。この方はリクルートの現役社員ですけど、五島に一緒に旅行に来てくれて「五島めちゃくちゃいいね、人生変わったわ。なんか一緒にやろう」というので2人で最初に始めました。やってたら巻き込まれてくださったのが遠藤貴恵さん。遠藤貴恵さんはサイバーエージェント出身のフリーランスの広報PR担当なんですけれども、この方が3番目に巻き込まれてくださり、そして最後に塩川徳也さん。この方は元々総務省の官僚だったんですけれども、そこから五島市に2年間出向していてすっかり五島が好きになっちゃって、その後今マッキンゼーで働いてらっしゃいます。この4人で部活的に「みつめる旅」をやっています。
何で「みつめる旅」という名前かと言うと、五島を舞台に人生を内省するような「自分って何のために生きてるんだろう」とか「自分がこの人生を通じて追求していきたいものって何なんだろう」みたいな立ち止まるような旅をして欲しいないうことで、ちょっと怪しい響きにはなってしまうんですけれども「みつめる旅」という自分たちのミッションを込めた名前にしています。
五島ってどこにあるかと言いますと、長崎県にある島で九州の最西端にあります。結構広くて150の島から成ります。五島市の人口は37,000人。今はもうちょっと減っていて去年が34,000人、多分今年は33,000人になっていたと思います。結構な勢いで人口が減っております。アクセスは羽田からだと福岡か長崎で乗り継いで最短3時間です。
青山:五島ってここにあるんですよね。意外と知らない人もいたかもしれない。
鈴木:全然知らないと思いますね。私が活動を始めたのが2018年なんですけど、この頃はまだ「五島(ごしま)」とかよく呼ばれてました。最近だんだん知られるようになって、正しく名前が呼ばれるようになってきました。
鈴木:風景としてはこんな感じ。私が五島にハマったのはこの写真を撮って下さっている廣瀬健司さんという五島出身の写真家さんがきっかけです。彼の撮る風景がとっても素敵なんですよね。この一番大きなピンク色の海岸の写真が高浜という五島で一番有名なビーチなんですけれども、そこに写真家さんの娘さんと香港人の恋人かな?久しぶりに実家に帰ってきてデートしている風景だったり。一番下の麦わら帽子を被っている写真は、地元のおじいちゃんが朝からキス釣りをやっているところですね。五島はリタイアしたおじいちゃん、おばあちゃんが自分で魚を釣ってその日食べるものを調達するというのはよく見る風景です。真ん中のピンク色の人だったと思うんですけど、確か移住していきなり漁師さんに弟子入りしたという人。最近五島は年間200人ぐらいが移住する人気の移住先になっていまして、こういう本当の写真のワンシーンにもそういうところって出てると思うんですけど、こういう風に本当に美しい風景と人の暮らしというのをうまく切り取っている素晴らしい写真家さんで、元々私はこの方の作品を世に広めたいというところから活動始めて、後でゆっくり話しますけどワーケーションの活動に繋がっていったというところがあります。
青山:もちろん写真家の方の腕もあると思うんですけど、日本にこんなに綺麗なところがあるいうのはこの五島を通じて知ったことです。今の円香さんのバーチャル背景も五島ですよね。
鈴木:そうですね。頓泊(とんとまり)というビーチです。
私たちは今までみつめる旅で何をしてきたかという話なんですけれども、事業としては2つの事業で研修事業とワーケーション事業をやっています。研修事業はコロナで止まっちゃってるので今それほどご報告できることないんですが、ワーケーション領域での実績という所だと割と積み重なってきているのでお話できるかなと思います。
鈴木:1つ目が、これがまさにコロナ前の2019年の5月かな?皆さんご存知かもしれないんですけど、ビジネスインサイダージャパン主催のリモートワーク実証実験。この頃はまだ「ワーケーション」という言葉もあんまり無くて「リモートワーク実証実験」と呼んでいたんですが、実際はまさに今でいうワーケーションでしたね。これが結構人気で、30人の枠に対して1週間で142人の応募が殺到して、そのうち63人の方にご参加頂いて実際に海辺のバンガローを借り切ってそこで1ヶ月間リモートワークをしながら生活してみるというのやり、大変好評でした。
鈴木:次は五島市さん主催でワーケーションチャレンジ。ここで初めて「ワーケーション」という言葉が出てくるんですけれども、これは真冬にやりました。五島ってハイシーズンは夏なんですけど、これはあえて真冬の観光閑散期に人を呼ぼうということも五島市さんとしてはやりたいということで、あえて冬の五島で会いましょうということでやりました。真冬だったんですけれども9割の人が「すごい楽しかった」と満足して頂いて、さらに次もやろうとなりました。
鈴木:これが2020年の真冬に企画した島暮らしワーケーション。残念ながら1ヶ月前にコロナで緊急停止になっちゃったんですけれども、集客自体はとっても好調で1.9倍の集客ができました。
鈴木:そして4つ目、これが先週募集を締め切って6月28日〜7月1日まで実施予定の余白と戯れるワーケーション in 五島列島 。今年は夏だけじゃなくて、秋と冬の3回開催を予定しています。みなさんも感じているところかなと思うんですけれども、コロナが始まって2年ちょっと経ってリモートワークが結構日常の一部になってきたんですが、移動はない、雑談はない、用件だけで済んじゃうみたいなことで効率はいいのかもしれないけどちょっと人間らしさに欠けるよねっていう、もう少し余白が欲しいみたいなことを感じているかなと思いまして、そこであえて普段の仕事というのは少し控えめにして、この2年間コロナで失われてしまった人間らしい余白を回復しに行こうというのをテーマに据えているイベントです。
青山:今回のコンセプトがめっちゃいいですよね。普段の仕事を控えめにしてゼロベースでいくというのは私の苦手分野ではあるんですが、大事なことだなと思っています。
鈴木:そう仰って頂けて嬉しいです。ちょうどいい生産性と言いますか、仕事をゴリゴリやっていたら私自身も1日でこなせる仕事の量ってすごく増えたし、入れられる打ち合わせの量も倍ぐらいになってるし、それで同時に動かせるプロジェクトもとても増えたけど「これでいいんだっけ?」みたいな思いがあって。これはサステナブルではないよなと気づいて、ちょうどいい生産性を見つけに行こうというのをサブのテーマで入れています。こんな感じでこれまで活動してきました。
これはワーケーション風景です。結構子連れでいらっしゃる方もいて、この方は外資系コンサルの社員さんですけどパパ一人で子供を連れてくるという結構チャレンジングなスタイルのワーケーションをやっていますね。今回は一人で5歳と2歳のお子さん2人を連れて来るって言ってました。
青山:すごい!
鈴木:右上に写ってるのは小学生2人は当時1年生と4年生だったかな、ママ1人で連れてきて地元の小学校に体験入学したりして1週間楽しく過ごしてくださいました。あとみんなで魚釣りをしたり、コロナ前は地元の人が一品持ち寄りで集まってみんなで飲み会もやっていましたね。こういうのもだんだん復活させていきたいです。
青山:私は五島に行くのでめちゃめちゃ楽しみです。
鈴木:ワーケーションに来る人だけじゃなくてそれを受け入れる地域の人にもプラスの効果があって、お互い良かったというゴールを目指したらいいというところで、効果はいつも細く設計して実施しています。
最近はいろんなメディアにも取り上げて頂いて、今日は山口周さんが序文を書いてくださっている「どこでもオフィスの時代」という去年10月に出した本なんですけれども、この内容に沿ってお話できたらなと思っています。
青山:この本はめちゃめちゃおすすめです。私は本を読むのが苦手ですが、この本は何回も読んでます。
鈴木:ありがとうございます。この本は3週間で書いたから超大変だったんです。
青山:この本3週間で書いたんですか?!
鈴木:すごく短期間でした。結構編集者がスパルタだったんです。
青山:3週間で書いたとは思えない。辞書みたいです。ワーケーションの極意が書かれているので、ワーケーションに興味がある方はぜひ読んで頂けたらと思います。
鈴木:そうですね。5年ぶりくらいに徹夜しましたね。(笑)
じゃあ私個人についてなんですけど、最近はワーケーション屋さんみたいになってますがベースとなるキャリアは一応編集者ですね。大学を卒業してからは大手出版社の朝日出版社に入ってダイヤモンド社に転職して、ずっと書籍の編集を一筋にやってきました。2016年に独立してからは女性メディアの編集長とかテレビコメンテーターなど表に出る仕事というのもやりつつ、でも編集者って黒子というか裏方仕事なのでそっちの方が性には合っていて、企業のブランディングとかCI設計とかコンサルティング業務で業務委託契約を結んでやることが多いし、自分の性に合ってる仕事だなとは思っていますね。官公庁の新しい旅の促進アドバイザーとかもやっています。
家族は夫と娘の3人で東京に住んでおります。今日は女子未来大学ということで、女性としてどういう風にキャリアを考えてきたかとか、個人的なプライベートの生活とのバランスってどう考えてるかというお話に多分興味あるかなと思いまして、そこのスライドを1つ用意してきました。
青山:事前に見せて頂いたんですが、このスライドがめっちゃ面白いんですよ。
鈴木:ありがとうございます。早いもんでこの間30歳になったと思ったらもう今月で39歳になります。未だに良かったのか悪かったのか分からないんですが、結婚は早かったんです。なんにも考えてなくて1番最初にプロポーズしてくれた人と結婚しただけなんですけど、23歳(修士1年)のときに結婚しました。そのとき夫が3歳年上だったんですけど、テレビ局の報道部に入っていて激務なんですよね。夜討ち朝駆けってご存知かわからないんですけど、警察担当だと幹部のところに夜1〜2時とか家に帰ってくるのをついていってネタをとって、また朝5時とかに出勤するところを狙って朝にネタを取ってみたいな仕事しているんで、大体旦那が1〜2時にハイヤーで帰ってきて、朝5~6時にまたハイヤーで出かけて行くみたいな生活で、夫の生活を支えるのが大変だったんですね。そんな生活をしつつというところで、当然働いてませんでした。専業主婦でした。
青山:「無職(バイトさえしていない)」というのが面白いなと思いました。(笑)
鈴木:そう、バイトさえしていない。(笑)ここをちょっと詳しく言うと、私の母親もほぼ専業主婦に近かったので家の価値観が割と保守的だったんです。「女の子だからいい旦那さん見つけて別に好きなことやってればいいじゃない」みたいなところで育ったんですよ。親も「大学入ったんだからちゃんと勉強しなさい。バイトしてる場合じゃないでしょ」みたいな。(笑)そういう家だったんで、大学時代にバイトさえしたことがなくて、家庭教師のバイトすらしたことがなかったです。もう見事なまでに箱入り娘でほんと恥ずかしいんですけど、そんな感じでした。
青山:突っ込みどころ満載ですね。
鈴木:満載ですよね、本当に。(笑)プライベートの流れと雇用形態というか働き方のところと、それぞれのキャリア位置を三本柱で見せていきますね。
そういうわけで23歳で結婚してもバリバリ専業主婦でした。旦那を朝送り出して掃除して洗濯して10時ぐらいで仕事終わっちゃうんです。それから何をやってたんだろうって今から思い出せないくらいです。多分映画を観たり、本を読んだり、小説を書くのも好きだったのでそんな生活をしていたと思います。2年くらいそんな生活をしていました。でもやっぱり超退屈だというのと社会から隔絶された感覚があって、やっぱり純粋に働きたいなと思ったんですよね。それで週1のバイトを始めました。どこで働いていたかというと器が好きなんで、器屋さんで働いて毎日作家ものの器とかを器を売っていました。私はお買い上げまではできるんですけどレジ打ちができないんで、あとはプチプチ切ったりする仕事をしていましたね。でももうちょっとちゃんと働きたいとなったときに、伝手で出版社に嘱託社員として業務委託で入って3年間下積みがあって、その後ダイヤモンド社に転職して正社員になりました。ここまで辿り着くのに結構時間がかかっているんです。大学を卒業して就職活動して無事に軌道に乗っていればこんな苦労はしなくて良かったんですけどね。変な苦労はしてます。そのあと独立して、さっき申し上げたようにいろんなお仕事をやってまして、今話した五島のワーケーションのプロジェクトというのはだいたい独立して2年目ぐらいで細々始めて、今だんだん育っているという感じでございます。でも考えてみれば20代こういう風にたくさん紆余曲折を経たことが今こういう風にいろんな人にワーケーションを通じて生きる選択肢を提供するというところにも最終回り回って繋がってきてるのかなというところはありますね。
鈴木:では本題に入ります。ワーケーションとは何かというところなんですけど、ワーケーションって一言で言うと「Afterコロナの生き方を探すロケハン」かなと私は思ってます。
青山:私も皆さんもそうだと思うんですけど、ワーケーションって普段の仕事をただただ海辺とか田舎とか違う場所でやるイメージがあると思うんですけど、ワーケーションの本質ってそこじゃないってところですよね。
鈴木:自然に囲まれたところでリラックスして仕事をしたら新しいアイデアが浮かんで生産性が上がるかも、みたいな感じでワーケーションって語られることが多いと思うんですけど、そうじゃないと思うんですよね。自分がどういう場所に身を置いて、何をやってるときに一番幸せを感じるか、素直に生きててよかったなって思えるか。そういう場所をいろんなところに行って探してみる。そのヒントを見つけてみるというのが、ワーケーションの本質なんじゃないかなと思っています。リラックスとか生産性とかそういうところに本質はないんじゃないかなと思ってるんですよね。ちょっとピンクで囲ってありますけれども、いつもと違う環境に身を置いて、いつも触れない人、関わることもないようなその地域の人だったり、その人が語る言葉に触れて日常から離れて過ごしてみることで、自分ってこういう生き方とか働き方の方が性に合ってたなというのが少し見えてくる。そういう機会になるといいかなと思っています。
皆さんもきっとご存知だと思うんですが、山口周さんに本の序文とかコラムとかを書いて頂いてます。その中で周さんも「場所を選べるか」自分の好きな場所で生きていける、好きな場所で過ごせるということがやはり一人一人の幸福と生産性に差がつく時代だというのは仰っています。
この辺りは少し端折ってもいいかなと思うんですけれども、皆さんもニュースとかでご覧になっていたら肌で感じるところだと思うんですが、この2年、コロナを経ていろんな業界でリモートワークが当たり前になったという話ですね。この辺りのニュースもここ1年ぐらいのニュースで皆さんのご記憶にあることも多いんじゃないかなと思います。
ワーケーションの意味なんですけれども、ビジネスパーソンにとってはやっぱり自分に一番フィットする「自分のモチベーションが最大化する場所」というのを見つけるキッカケだし、企業にとっては「自力でモチベーション最大化できる人材」を育成する機会。ついでに言えば、そういう人材を受け入れる地域にとっては、素敵な才能を巻き込んで「作りたい町」を実現する機会と言えるんじゃないかなと思っています。
鈴木:ワーケーションって、WORK+VACATIONってよく言われるじゃないですか?でもそうじゃないんじゃないかなと思っていて。これから詳しく話していきますが、WORK100%でもいいんじゃないかなというのが私たちからの提案です。
それってどういうことって話なんですけれども、ワーケーションのWORKって言うとだいたい図の左側にある日常のWORKのパソコンでデスクワークする、いつものプロジェクトメンバーでオンラインで会議する、チャットツールでやり取りするみたいないつものルーティンワークを滞りなくやるというイメージがあると思うんですけれども、むしろ私たちは人生のロケハン。これから自分がどういう風に生きていきたいかというヒントを探すのであれば、それよりはピンクで囲ったところの普段は忙殺されてできていない仕事をやったり、未来の仕事のネタ、副業でも未来のライフワークでもいいと思うんですけど、そういうものを探しに行くという非日常のWORKに寄ったものにこそ時間を割いた方が意味があるんじゃないかなと思っています。ここは大事なところだから、もし雅子さんから何かコメントがあればぜひぜひ。
青山:私はついつい日常のWORKを詰め込みすぎる傾向があるので、ワーケーションに行く予定をされている方は私も含めですが、どれだけ日常のWORKを抑えて非日常のWORKに重きを置けるスケジュールを事前にしておくのが大事なんだろうなとめちゃめちゃ感じています。
鈴木:そうなんですよね。補足すると、リモートワークが許されてない会社や業界の人がいると思ったんです。社外に仕事を持ち出してはいけない人。そういう人だったらルーティンワークの方は諦めて、自分がもし副業するんだったらこういうことに興味あるなとか、もし次のセカンドキャリアやサードキャリアを夢想するのであれば、もしかしたらこういう方向も自分もいけるかもしれないなみたいな。未来の仕事のネタを探しに行くとか、ライフワークのヒントを探しに行くという風に振り切るワーケーションも十分可能だと思うんです。なので究極的にはリモートワークができるかできないかと、ワーケーションができるかできないかは関係ないのかなと思ってます。
青山:非日常のWORKの真ん中のところはなんとなくイメージがあったかもしれないですけど、右側の例えば社外の人と繋がるとか副業のきっかけを探す。これも非日常のWORKに入るというのが結構新しいネタかもしれないですね。
鈴木:そうですね、確かに確かに。
青山:私は今回、社外の人と繋がるってところに重きを置くと心に決めて行く予定です。
鈴木:素晴らしいです。いろいろ面白い人を紹介します。
鈴木:そして非日常のWORKが大事ということと、もう1つは深い体験が大事だと思っています。これは五島のワーケーション参加者に推奨しているスケジュールです。金曜日に土日をくっつけたり、土日に月曜日をくっつけたりして2泊3日でサクッと行こうみたいな人は多いと思うんですけれども、それだとなかなか自分の価値観を揺さぶられるような体験は難しいと思っていて、できれば一週間とか少し思い切って時間を取って過ごしてみるのをおすすめしています。体験の深さって何かというと、五島だと最初は「海が綺麗だね」「新鮮な魚が美味しいね」という感動が最初に来て、その次に地域の人と話せたとか離島なのでバスが来ないとか店がすぐ閉まっちゃうとか、不便ことにも遭遇する。ここからだんだん体験が深くなっていくと、不便というのも実は地域の人と協力したら色いろいろ楽しく乗り越えられるとか、友達ができたということがあり、最後に一番深いところでは自分が当たり前だと思っていた価値観というのが揺さぶられて視野が広がったなというところ。ここまで来ると次の自分の人生を設計していくヒントが得られたというところまで行きやすいのかなと思っています。2泊3日とかでちょっと浅い体験で止まってしまわずに、せっかくワーケーションするなら深い体験まで到達して頂けたらなというところですね。その手段として五島でやっているワーケーションでは、地域と関わるコンテンツもいろいろと用意しています。ここで挙げているような廃校巡りツアー、葬儀場の経営者と意見交換等、いろいろ変わったコンテンツもこれまでやってきました。こういうところから非日常のWORKで、まさに次自分がこういう新しいことやるんだったらこういう領域もありかもしれないみたいなヒントが得られるかなと思っています。
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