今回の授業は、元テレビ東京のアナウンサーで、退職後にフレグランスブランド「Whitte(ウィッテ)」を立ち上げた白石小百合さんを講師にお迎えして『感性と直感に従って「自分」の人生を歩む方法』をテーマにお話いただきました。
第1部講演「自分の感性を活かして好きなことを仕事にする方法」
初めまして、白石小百合です。私は1987年12月16日、千葉で育ちました。中高は演劇部で女子校だったので男役やったり、舞台装置作ったり色々やっていました。で、中高がすごい厳しい学校であまり遊んだりもしなかったので、外の世界を見たいと思って、法政大学の国際文化学部に入学してスペインに留学しました。その後、2010年4月から2017年3月までテレビ東京のアナウンス部にいて、4月から会社の代表になっています。
私の経歴なのですが、まず、局アナってなんだろうって思いますよね。局アナって特殊な仕事だなって思います。基本的には社員なので固定給しかもらえないとかっていう悩みもあるし、会社の一員として一丸となって盛り上げるみたいな学祭みたいな雰囲気もありました。
なんでアナウンサーになったかというと、もともとコミュニケーションに興味があったので、一番大きいコミュニケーションの媒体のテレビ局がいいなと思って、その中で周りの人に背中を押してもらったのがアナウンサーでした。アナウンサーとして何がしたかったかというと、入る前はスポーツキャスターやりたいなと思ったんですけど、WBSという経済番組につくことになりました。
担当した番組はWBS Weekend、トレンドたまご、スポーツ番組を5年くらいやってました。あとは、スポーツ少年のドキュメンタリーを作ったりとか、情報番組で週に4、5回くらいロケ行ったりとか。そのあと、ナレーションをやりたいって言ってたら、週7本とかあってナレーション職人みたいになっちゃったりとか(笑)。これ以外にも急に特番が入ったり、今から取材行ってきてとか、結構時間の拘束はあったんですけど、すごく楽しかったです。
香りは究極のコミュニケーション
そこからどうして今のお仕事になったのかの経緯をお話しします。もともと、香りがずっと好きだったんですね。まずは、Whitteがどんなブランドか説明させてもらいます。名前はWhite(ホワイト)にtをプラスしています。ホワイトは無限の可能性、まっさらな本来の姿で、それにtをプラスしてるのは、アメリカのシアトルの方で小百合ちゃんって呼ぶときに“さゆりッテ”みたいに、tteとつけると○○ちゃんという感じになるので、白ちゃんみたいな、ちょっと可愛らしい彩りを加えています。私は、香りってコミュニケーションの究極のものだと思っているので、みなさんが何かお話ししたときに言葉で感情が繋がるように、香りで感情が繋がればいいなと思っています。
まず、私の香りとの出会いは、中学3年の時に研修旅行でニューヨークに行って、LANCOMEのmiracleという香水に出会いました。デパートの店員さんとお話ししたら「ヨーロッパの初めてのブランドは香水を買うのよ」って言われて、「なんで香水なんですか?」って聞いたら、「人から見えるものは、自分できちんと買えるようになるまでは使ってはいけない。まずは香水をつけて自分の肯定感を高めるのが普通なのよ」って。それに感銘を受けてしまい、それを買ってから、今は、数百くらい香水を持ってます。
じゃあ、なんで会社にしたのかっていうと、趣味で香水を作ろうと思ったんですけど、香料会社に香料を売ってくださいと言ったら、会社にしか売りませんって言われたので作ったのが今の会社です。なので、仕事になるなんて思ってなかったです。でも、なぜブランドにしたかというと、自分の考えとかやりたいこととか美意識的なことをかたちにできるから、こういう形にしました。
Whitteであなたらしくいられる香りを作りたい
今、人生100年とか言われるじゃないですか。でも、私は人生130年くらい生きたいと思ってて、100年だと思ってたら80年くらいでもう疲れたなとかなっちゃうと思うので、130年くらい生きようと思えば、100歳くらいまでは生きられるかなと。で、あと100年あるなと思ったら、何をして生きるか。アナウンサーとして生きるのではなく、アナウンサーもやってるし、香りもやってるし、また別の仕事をするかもしれないし、でも何をするかではなくて、自分がどう生きているかが大事だと思います。
私は今でもアナウンサーもやっているので、今後、自分のハッシュタグが増えていくのかなと思っていて、例えば、みなさんがOLさんをやってて、空いてる時間に違う活動するとなったら、それはハッシュタグが増えてる人生なので、今はやりたいことがやりやすい状況だと思うので、みなさんもハッシュタグを増やしていっていただけたらいいなと思います。
香りの楽しみ方についてもお話ししたいのですが、香りの選び方について。自分のイメージに合わない香りをつけると相手が違和感を感じたりします。例えば、すごく清楚の女の子がボディコンとか着たらびっくりするじゃないですか。それと同じように香りでも違和感を与えてしまう場合があります。ただ、自分のイメージを変えたいときは香りでイメージを変えることもできます。
あと、行動範囲も大事です。彼氏とデートのときと、上司と1日外回りのときって全然違うじゃないですか。あとは、体調や体型によっても変わります。なので、イメージ×行動範囲×体調や体型の3つを組み合わせて、洋服を選ぶような感じで考えてもらえたらなと思います。
私は、香水も毎日変えたほうがいいと思ってるタイプです。毎日同じ服着ないですよね、同じメイクばかりもしないと思います。自分の中でこだわりポイントが大きい方がハッピーが増えると思っていて、このお洋服初めて着るからハッピーとか、この人に会うためにちょっと髪巻いてみたからハッピーとか、自分のハッピーを増やすイメージで香水をつけてもらえたらいいんじゃないかなと思います。
どこにつけたらいいのかもすごく聞かれるんですけど、まず筋肉や脈のある場所です。この辺は暖かい場所で暖かい所の方が香りが立ちやすいです。ただ、自分が嗅ぐときは胸より上だと強いんですよ。そういうときは足元につけるとか。あとは、全体に香りをつけたいときは上にふりかけて香水をくぐる。そうするとほのかな香りがついて、香水をつけてるというより、その人自身が良い匂いするなという印象になるので、そういう使い方ができると成功だなと思います。あとは、カードとか小物とかお部屋のカーテンにつけておくと、ふとしたときに香ります。
嗅覚って五感の中で唯一人間が退化させてきたものなんですね。人間は今まで視覚優位な社会で生きてきたと思います。今までの教育の中でも、見たものを覚えてアウトプットしてっていうのが大事だとされてきて、嗅覚がいいからといって成績が良かったり、いい大学に行けるわけではなかったけど、これからは社会性よりも自分の感性の時代だと思います。視覚で覚えるとかはきっとロボットがやってくれるんじゃないかなと思うので、感性を豊かにしてぜひハッピーに自分の持っているものを肯定してあげて、あなたらしくいられる香りを作れたらいいなと思ってWhitteをやっています。
自分のナチュラルな感性に帰る時間として香りが存在してくれたら
ここからは質疑応答に入りたいと思います。
まず、今日は好きなことを仕事にしたいとかって来てくださった方も多いんですけど、私のキャリアの中で、自分がやりたいと思って番組についたことってほとんどないんですね。ある日突然上司からこれやってとか言われて。でもやってみると、それを面白がる力だけはあって、それを繰り返すことで自分が感性を磨くことができたので、やりたいと思ってないことも面白がってたら、色々繋がっていくと思います。
今は、選択肢が多すぎて、好きに気づくことの方が難しくて、好きを仕事にする方が簡単というか。なので、自分がやりたいことがわかってる人は今すぐやったほうがいいと思います。いいなぁとか言ってる時間がもったいないなと思っちゃいます。
あとは、友達とか見てると、好きなことを仕事にしたいではなく、好きなことをしてたら仕事になってたという例もある。自分がハッピーじゃないと相手をハッピーにできないから、好きなことを仕事にできたら、いいスパイラルができるんだろうなと思います。
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質問:日常で感性を磨く努力はどうしてますか?
美しいものを見るようにしてるし、美しいように見るようにしてます。どうでもいいと感じるような商品パッケージの変更とか、一般的にうるさいデザインだなと思うようなものでも、その裏の見えないところで色んな人のこだわりが詰まってるんだろうなと思いながら見ると、また違って感じられるかなと。
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質問:感性をアウトプットするときに言葉が大事だと思うんですが、それはどうやって磨かれていますか?
よく言われるのは文章に触れなさいとかだと思うんですが、私は意識的に言葉に触れなくても、言葉ってそばにあると思うんですよ。なので、あまり汚い言葉を使わない人と一緒にいるようにするとか。汚い言葉を使ってる人と話してるとか気持ちが悪くなるので。同じ言葉のシャワーを浴びるんだったら、綺麗な色々な言葉を知ってる人と話したいですよね。
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質問:人から、こういう風に見られるために気をつけてますってことはありますか?
ハッピーでいられるようにしてます。感情って伝染するので相手がグチを言っていたら嫌だなって思うから、自分はハッピーでいられるように。私は小さいことで幸せになれるので、なるべくハッピーを貯めるようにしてます。
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質問:Whitteのコンセプトリードはどうやって決めましたか?
コンセプトってビジネス的なコンセプトと感覚的なコンセプトがあると思っていて、ビジネス的なコンセプトで言うと、香料が最大限入っているのに日常生活で柔らかくてビジネスにもお使いいただけますっていう事実的なコンセプトだと思うんですけど、感性のコンセプトだと、真っ白なキャンパスの中に彩りを加えることで皆さんの本来の自分を肯定してもらうというような感じになります。
生まれた時ってみんな無垢だし、自然なナチュラルな感性があるけど、色々経験していく中で、自分の感性なのか人の感性なのかがわからなくなることがあると思うので、1回自分に帰る時間として香りが存在してくれたらいいなと思っています。
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