*開催レポート*4/9「自分も周りも幸せにするジュエリー 〜PERPETUAL JEWELRY「HASUNA」ができるまで〜」<書き起こし>

今回の女子未来大学は「自分も周りも幸せにするジュエリー 〜PERPETUAL JEWELRY「HASUNA」ができるまで〜」をテーマに開催しました。
「愛や美を象徴するジュエリーだからこそ、搾取や環境破壊のない、クリーンなものであるように」と人や社会、自然環境に配慮したエシカルなジュエリーブランド「HASUNA」を⽴ち上げた白木夏子さんを講師にお迎えし、授業を行いました。
  
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【第1部 白木夏子さん講演「HASUNAができるまで」】

  
白木 皆さん、こんにちは。株式会社HASUNAの白木夏子です。いま会社を立ち上げて9年目に入ったところです。9年目っていうとベンチャーという感じではなくなっていくんですけれども、今も創業した時の気持ちを忘れないように毎日過ごしています。今日は立ち上げる前のこと、立ち上げた直後のことを中心にお話しさせて頂こうと思います。
  
  

ファッション業界への憧れ

  
白木 まず自己紹介から始めさせて頂きたいんですけれども、私は鹿児島で生まれて、その後、父親の実家がある愛知県一宮市で育ちました。
母親はファッションデザイナー、父親がアパレル関係の商社で勤めていました。そんな中で育ったので、小さい頃からファッションビジネスやアートの世界に憧れがありました。物心ついた頃からミシンを与えられて、洋服を作ったりアクセサリーを作ったりとか、自分の手でつくることを遊びの中でしていました。
  
 高校生のときに大学受験を考えはじめ、そのときに将来何をしたいんだろうと考え、ファッションや芸術の業界にいきたいなと思って両親に相談したところ、「自分の好きなものだけを作れるような甘い世界ではない」と猛反対されてしまいました。じゃあ、自分の好きなものを作るんだったら趣味程度でいいのかなと思い、一時諦めたんですね。
  
 ですが、卒業目前の時期に祖父と話していたときに将来像が見えた時がありました。私の祖父は、今で言うパラレルキャリアの働き方をしていた人でした。旅も好きで世界中を巡っていて、「日本にいると女性は会社にいても差別されてしまうし、結婚しても家の言いなりになるしかないから夏子は海外に出そう」と言って留学をサポートしてくれたので、地元の短大で英語の勉強をしてからイギリスの大学に進学しました。
   
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インドで感じた資本主義への疑問

  
海外大学受験のために入学した短大は社会貢献に力を入れていたカトリック系の短大でした。入学してすぐに、フォトジャーナリストの桃井和馬さんという方が大学に講演に来られました。桃井さんは、世界100カ国以上で紛争などの社会問題に関する写真を撮り続けている方で、講演を聞いたときに自分に雷が落ちたような感覚に陥りました。
  
 世の中にはこんなに毎日生きていくのすら大変な人たちがいて、環境破壊が行われているという問題が沢山あるのにも関わらず、私は何でこんなに自己中心的な考え方をしてきたのだろうと思ったんです。そのときに私は国際協力、社会貢献の道を歩むことが私の宿命なのではないかと思いまして、将来的になんらかの形で社会に貢献してゆく道を歩もうと決めました。
  
 入学したロンドン大学では国際開発の勉強をしていました。ただ、授業を聴いていても世界で起こっている問題に自分はどうしたらいいのかがわからなかったんですね。じゃあ、自分で見に行くしかないと思ってNGO団体にアポを取って、1年目の夏休みに単身南インドに行きました。そこで、すごく大きな転機がありました。私が滞在したのは南インドのチェンナイというところにあるアウトカーストの村です。アウトカーストというのは、カーストの最下層にも入れない人のことです。私が行った村は鉱山労働の村だったんです。
  
 彼らの生活を見ていると、子どもも学校にいけなかったり、みんな食事も十分じゃなかったり、過酷な環境で暮らしている。その状況を見てショックで、「何でこんなことになっているの?」って強く思ったことがあったんです。ビジネスの仕組みが行き過ぎた資本主義により、買い叩くことを繰り返していった結果、末端にいる人たちに全部のしわ寄せがいっている。このような行き過ぎた資本主義の仕組みが間違っているのではないかと、この資本主義の仕組み自体を直さないといけないのではないかと思いました。その後縁あって国連でもインターンをしましたが、そのときに国連やNPO、NGOより私が見てきた鉱山での問題は、ビジネスの仕組みを変えないとどうにもならないんじゃないかなと思ったんです。
  
  

ビジネスの世界を経て、HASUNAを創業

  
 日本に帰国して、ビジネスの世界を見てみようと24歳のときに就職しました。東京にある不動産投資ファンドの会社で3年働きました。国際協力とは真逆の世界に身を置くことで、この資本主義をどう変えたらいいかが分かるのではないのかなと思ったわけです。極端ですよね(笑)。でも、入社して1年半経ったときにリーマンショックがありました。そのときに次に何をするかを考えはじめ、「ビジネスの仕組みを変える何か」をやろうかと思ったときに、2つ選択肢がありました。1つは社会を変えるようなビジネスをしている会社に転職すること、そしてもう1つは、起業。
  
これだったらビジネスになるかもしれないと思うものを事業計画書に落とし込んで、起業家の方たちにプレゼンしにいったんですけど、その中の1つにジュエリーのビジネスがありました。昔からジュエリー作りが好きだったことや、過去を振り返ったときにインドの鉱山で働いているアウトカーストの人たちのことが一番心に残っていたので、鉱山からジュエリーの素材となる鉱物を現地にちゃんとお金がまわる仕組みで買い取って、日本で加工して販売するという循環が上手くいけば、少しでもジュエリーの業界にインパクトを残せるんじゃないかと思いました。
  
 たとえお金をもらえなくてもやり続けられることだろうと思ってHASUNAを立ち上げたのが2009年4月です。これまでが創業のストーリーです。
  
最初はオンラインショップを立ち上げましたが全然売れなくて、すぐ資金もなくなってしまって。準備期間にダイヤモンドや宝石を買い付けるので数百万くらい使っていたので、起業するときは150万円しか手元になくて。致し方なく資金調達をしました。当時はクラウドファンディングなんてないので、周りの人たちに出資をお願いし1ヶ月で600万円を集めて、それをもとに始めていきました。創業して半年後にようやく百貨店とセレクトショップでの扱いが決まり、2年目に南青山に1号店を作って、今に至ります。
 
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パキスタン、ペルーの鉱山の現実

  
 では、具体的にどんな仕入れをしているのかをお見せしたいと思います。こちらの写真はパキスタンの首都から北に移動したフンザ渓谷というところなんですけど、ここには先祖代々宝石の採掘をして生計を立てている民族の方たちがいます。ここで問題になっているのが、採掘される宝石の9割が密輸されてしまっていることです。この地域は中国とアフガニスタンの国境にあるんですけど、国の管理の目が行き届いていない場所で、農作物を運ぶ大きなトラックに宝石を隠して通していたりとかして簡単に密輸できてしまう。これを深刻に受け止めたパキスタンの方たちがNGOを立ち上げ、ここで採掘された宝石を適正価格で買い取って、その近辺に住んでいる貧困層の女性たちに研磨の技術を指導してサポートしています。HASUNAはここで買い付けをしてジュエリーにしています。この近辺の地域の方たちは、女性が教育を受けることや手に職をつけることが難しい地域なので、このような状況下の女性たちが自立できるように手助けしています。
パキスタンは一例で、今、世界で10カ国ほどのコミュニティと取引をしています。
  
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 もう1つ事例をお見せしたいなと思っているんですが、金の鉱山って見たことありますか?ペルーの首都から10時間南下した村なんですが、年間にほんのわずかしか雨が降らなくて農作物も全然育たない場所なんですけど、ここに1980年代に難民となったペルー人たちが故郷を捨てて移住し、金の採掘をはじめました。ペルー、ボリビア、コロンビアあたりは金が多くとれるので、金を採掘する会社も沢山あるんですが、この場所的に大きな資本が入ってくるには不便なので、住民たちのためだけに住民たちの手で採掘のための会社を出資し合い、採掘していこうということでやっている鉱山です。ここで金を買い取ると、それが小学校の建設費用など社会的なインフラに使われています。
  
  

一歩進むためのメッセージ

  
一歩進むために私からのメッセージを最後にお伝えしたいと思います。
  
 まず1つめ、「”Touch the world”世界に触れよう
私も世界にたくさん出かけるんですけど、色んな場所に行って色んな人に会うたびに、自分が成長するんですよね。なんで旅をするかっていうと自分の内省のためなのかなと思っていて、もちろん旅をするのは楽しいし思い出づくりっていうのもあるんですけど、やっぱり自己成長につながるんですよね。
  
 2つめ、「”Find right partners”パートナーを探そう
これはライフパートナーもそうですけど、仕事のパートナーもそうです。もしこれから先、起業しようとかフリーランスになろうとしてる人たちがいたら、1人ではなにもできないので、信頼できるパートナーを沢山探して頂ければと思います。私自身もパートナーに支えられていますし、パートナーなしではできなかったので、1人でできないことは沢山人が集まれば絶対できると思うんです。
  
 3つめ、「”follow your heart”、ハートに従うこと
私もひとつ選択するときに最終的に何を重視するかっていうと、自分の感情なんですね。自分がどれだけワクワクするか、心からやりたいと思えるかに従っています。誰と一緒にいるか、どんなことをしたいのかっていうのは妥協したくないなと思うので、常に明日死ぬかもしれないと言う想いで行動をするようにしていて、そういうときにハートに従って自分の声に従うことができていれば後悔しないと思っています。
  
 4つめ、「”be yourself”、あなたらしくあること
私はこれに苦しめられてきた経験があって、創業して数年は経営者としてこうあるべきとか、社長はこうすべきとか、そのような枠に囚われてとても苦しかった。自分のスタイルを持って、自分って何がしたいんだろうって自己分析をして、自分らしさの中でやっていくことが会社の繁栄や売上につながったりとかするんです。肩肘張って、こうしなければならないとか、こうあらねばならないとか外的要因から分析される姿は取っ払った方がいいと思います。人から何か言われても自分は自分というものを強く思って、あなたらしさを追求することが、周りの人たちの幸せや自分の幸せにも繋がり、ビジネスの成功にも繋がっていくのかなと思います。
  
そして、5年後、10年後の自分像を描いてみることも大事だと思います。どうしても難しく考えたり自分で制約を設けてしまうことがあると思うので、それを取る魔法の言葉がこれです。「もし魔法があったなら」という言葉を一つつけるだけで、すごいアイディアが湧いて出てくる。あとすごくワクワクするのでこの言葉をつけてキャリアプランなり、ライフプランを考えてみてください。では私の話は以上になります。
  
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何世代にも渡って使い続けられるジュエリーをつくりたい

  
第一部の講演のあと、参加者の皆さんからの質問を受け付ける質疑応答を行いました。
 
   
参加者 最初、ウェブショップを立ち上げて、ウェブショップじゃ全然売れなくて、再投資して売れるようになったということですが、具体的にどのようなことをして売れるようになったのでしょうか。
  
白木 ウェブサイトを作って、広告やいろんなところに載せてもらわないと購入動機ってないと思います。何から始めたかというと、オンラインショップの前にオーダーメイドのジュエリーをずっと作っていたんですね。会社で3年働いて、最後の1年を使って事業計画を作る中で、まずトライアルでオーダーメイドの結婚指輪、婚約指輪作りますよっていうので始めて、口コミで最初は月に1件とか入って来たんですけど、月に2件、3件と増えていって、収益が立ち上げた当初から何十万円か入ってくるようにはなっていました。だけどオーダーメイドは結構きつくて、1人ではほとんど対応しきれなくなって、2年目にブライダルのサロン、ジュエリーのお店を作ることができました。
  
参加者 何かをやる際に思っていてもそのアクションを起こすっていうことってやはりパワーがいるので、そこにハードルを感じてらっしゃる方が多いと思うんですね。しかも、スピード感を持って決断するということがすごく難しいと思うんですが、数ある選択肢の中でその決断をされて現場に至る今と、17歳の時に決断ができなかった違いっていうところを一つ伺いたいと思っています。もう一つは、ホームページも拝見させていただいているんですけれども、よく本も読ませていただいて、ジュエリーの裏側のストーリーのビデオを見せていただいた中で、HP上ではあまり語られていないなっていう印象があるのですが、あえてそうされているのかどうなのかっていうところを伺いたいなと思います。
  
白木 まず決断の質問ですが、17歳の時はほとんど家にいたので、親の言う通りに動いていた自分がいて、親が期待する姿を演じていたというか、承認欲求が動いて、自分がやりたいものを決断できなかったということはあると思います。今は、やりたいなと思うだけで行動せずに死んでいくことだけはやめたいなと思ったんですね。だったらやって失敗して、失敗したけどいい思い出だったなって思いながら死んでいきたいとある時に思います。
  
今はやりたいことがあったらすぐに実行することをしています。とはいえ、パワーやエネルギーがいるのですが、私は組織の中で働くことが全く向いていなくて、決められた時間に決められたことをするということが徹底的にできない子供でもあったし、組織が自分の中では入れないのであれば、自分で起業をするしかないっていう諦めもありました。自由と引き換えに不安定感はありましたけど、自由に勝るものは自分の中にないかなと思っています。
  
2番目の質問ですけれども、創業してから5、6年あたりまでは、社会貢献とかエシカルなジュエリーというキーワードを積極的にHPに載せていたのですが、このままだとマーケットが広がらないなという感覚がありました。ジュエリーのマーケットで勝負していないという気持ちが自分の中ですごくあって、あくまでも社会貢献とかが好きな方たちに買っていただいていて、ジュエリーが本当に好きな人たちには買ってもらっていなかったんですよね。それがジレンマで、ジュエリー好きな方たちに買ってもらうことで、その人たちの知らないところで社会貢献につながっているという仕組みが私のやりたいことだったので、思い切ってウェブサイトからは社会貢献色を消し、ジュエリーブランドとしての勝負をすることをしました。ただ、私自身はアクティビストなので、講演や本で啓蒙活動を続けています。このようにして自身の活動と会社の活動は分けるようにしています。
  
猪熊 今回の授業のタイトルにも「PERPETUAL JEWELRY」とあると思うんですけれども、あらためて「PERPETUAL JEWELRY」とはどういう意味かご説明頂けますか?
  
白木 人と社会と自然環境に配慮したジュエリー作りがしたい、そしてこのブランドが大きくなれば大きくなるほどこのブランドに関わる人が幸せになっていくようなジュエリーを作りたいなって思ったんですけれども、それを当初は「エシカル(ethical)」なジュエリーと呼んでいました。「倫理的な、道徳的な、自然環境に配慮した」ものづくりをすると。
  
でもやっぱり「エシカル」という言葉は強い言葉なので、そこだけにフォーカスをしているジュエリーブランドだと思われがちだというのが悩みでした。私たちはジュエリーのブランドとして品質とデザインにものすごくこだわりを持っているので、このこだわりを全く注目してもらえないというジレンマがあったんですね。私の思いとしてはこの「エシカル」なものづくりっていうのは、あくまでも全ての企業が当たり前のように行なっているべきものであって、これをわざわざマーケティングの用法として、掲げてやっていることにもすごく違和感があるんです。でも途上国とか関係なく、やっぱり良いものづくりをしていきたい、デザインと品質を究極的に追求して私が本当に作りたいジュエリーを作りたいって思った時に、それを実現する言葉として考えたのが「PERPETUAL」なんですね。「永続的なとか、普遍的な」という意味がありまして、普遍的なデザインとか永続的なブランドとして何代にも渡って使い続けていただけるようなジュエリー作りがしたいということでこの「PERPETUAL」という言葉を使い続けました。
  
  

地球を良くする100社の立ち上げに携わりたい

  
参加者 ロールモデルとパートナーのことで一つずつお伺いしたいのですが、起業前に起業家の方に会われたりとかしてたっておっしゃられてたと思うんですけれども、当時はどのように見つけたりそういう場を作られていたのかなというと起業前や起業当初の時に白木さんのロールモデルはいらっしゃったのかなということをお聞きしたいのと、今パートナーを作ることが大事とおっしゃってたと思うんですが、どう言った感じで今周りにいらっしゃるパートナーを作られていたのかなということです。
  
白木 一つは、起業をサポートしてくださるような人たちがいる場でお話しするときに、プレゼンテーションの一番最後のページに「今こんな人を募集しています」というページをつくって、リスト化しておく。するとその場にいた人たちが友達紹介するよ、とかつなぎ合わせてくれたりしたので、そんな感じで沢山の方が集まってくださいました。
  
 ロールモデルに関しては、私は学生時代から緒方貞子さんとココシャネルにすごく憧れていて、あとはいろんな経営者の方たちの話を聞きながら、この人のこういうところいいなとか、こういうアイディアをもらいたいなとか、そういうことをいろんな人たちから学んでいるという状況でした。
  
 パートナーについても、最初の質問と同じように募集させていただいたりとか、起業塾に通っていたので、メンターとして、先輩起業家がついてくれて、その方が今役員をしてくださっています。起業してから最初に置いてもらったジュエリーのセレクトショップの店長さんが今役員を務めているんですが、そんな出会いがあったりとかそんな感じです。
  
猪熊 起業をサポートするような機会は、今はたくさんあって、起業とか事業にしていきたいと考えている方は、そういう機会で学ぶのも良いかもしれないですよね。一方で、「自分が何をしたいのか」を伝えることってすごい重要な気がしていて、名刺を作るでも良いですし、初めてあった人と名刺交換をしたり、自己紹介として話す時に「自分が何をしたい人なのか」をちゃんと説明できる状況で出会うのと、何も決まっていないただ1人の女性として出会うのとは違うと思うんですよね。今、お務めしている会社の名刺でその話しかしないのと、自分のやりたいことをちゃんと出会った時に説明できるのとでは、選べる機会やチャンスが違うかなと思いました。
  
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参加者 1点目が何か決断とかされた時に旦那さん、家族であったりとか周りの人が期待するしがらみの中で、自分を枠にはめたりとか、期待された自分でいようと思うことがあって、自分の殻の破り方、掘り下げ方を教えていただければなということと、2点目が白木さん自身が5年後10年後「魔法が使えたなら」どういうところを目指されたり考えたりしているのかなというところを教えていただければなと思います。
  
白木 まず期待のことですけれども、仕事上はいくらでも期待していただいて大丈夫なんです。なぜかというと、これだけ目標があって、これを超える仕事をしてくださいっていう期待とそれへの対価や報酬がある。しかし、人間関係における期待は私はネガティブな感情だと捉えています。期待をして、その人の領域を自分の物化してその人がその期待に答えられないと、怒りとかがっかりとか残念とかに変わるじゃないですか。なので、私は周りに期待してもらわないような環境に持っていきました。そうするとすごく楽になりましたね。
  
 近しい人たちにはちゃんとコミュニケーションしていくことが大事だと思っていて、人の思い通りになる人生ってすごく幸せな人もいれば、そうじゃなくて自分は自分の人生を歩みたいっていう人もいると思う。だから自分にとって何が理想なんだろうっていうのを自問自答して、恋人なり、旦那さんなりいろんな人と話し合っていくことが大事なのかなと思っています。
  
 5年後10年後の自分像を作るっていうワードは1年に1回必ずしていて、今年の初めに作ったんですけど、やっぱり違う方向になってきたっていう自分の中の気づきがあって、40歳までには20社の会社の立ち上げに関わりたいなと思っています。一生を通じて100社の立ち上げに関わりたいなと思ってるんです。適切なサイズってそれぞれあると思うんですけれども、適切な規模の会社を100社作ればおそらく社会的なインパクトを与えられるんじゃないかなと思っていて、たとえ売上が数千万円や数億の中小企業でも、地球をよくするような会社が100社できれば、物とお金の流れは確実に変わり、地球は良い方向に向かっていくんじゃないかと私は思っています。
  
  

ビジネスとして社会に貢献していく

  
参加者 色々お仕事をされていて、マイナスなこととか嫌なこととか感情も出てくると思うんですが、そんな時白木さんはどのようにして意味付けしたり感情をコントロールされているのかなということをお聞きしたいと思いました。
  
白木 そうですね。私は、マイナスな方向に行き始めたら、そこを感じずにポジティブに振り切れていたんですね。無視していたというか。なんでも良い方に考えていたんですが、今は感情に浸りきることにしています。泣いたり、怒ったり、悲しんだりをうまく使いつつ、一通り終えるとすごいパワーが湧いてくるので、うまく使っていますね。
  
感情に浸りきるっていうことをしていないと、大して楽しいこともなくなってしまって常にフラットで、人間として生きている意味がなくなってしまっているように感じます。機械じゃないんだから。せっかく人間に生まれたのだから喜怒哀楽を全て感じ切るっていうことをやりたいなと思って、ネガティブなことが起きたらその感情に浸りきって、その中でいろんな人に助けを求めて、その中で解決策が見つかっていくんです。
  
参加者 起業されてから、辛いからやめたいって思ったことがあるかということと、もしあれば、それはどんな時かと、もしなかったとしたら何が原動力になって続けようと思ったのかを教えて下さい。
  
白木 辛いときにやめたいと思ったことはありますが、真剣にはそう考えたことはないですね。結局会社ってなんで存続するかっていうと経営者がやめないからです。ただ諦めることはすごく簡単なんですよね。明日やめるって言ったらすぐにそのまま清算されてしまう。なので、しばらくこれを続ける意味を感じている限りはやっぱりビジネスを続けたいなと思っています。やっぱり会社を10年ぐらいやっていると3、4回消えたくなる瞬間ってあるんですよ(苦笑)。
  
起業はそれを承知の上でするものだと分かっていたし、そういうサイクルっていうのがやっぱりあるんです。幸いにもビジネスパートナーも役員もすごく仲が良くて、尊敬している人たちで、お互いがお互いの応援者なので、続けられている。仲間に恵まれたというのも続けていく一つの理由なのかなと思っています。
  
  
猪熊 たぶん、夏子さんというと、しなやかでやわらかい印象があるんじゃないかなと思うんですけれども、中にすごく強い芯をお持ちでそれは硬い芯ではなくてしなやかで強い芯を持っているというのが私は夏子さんの素敵なところだなと思って尊敬しています。拍手で終わりたいと思います。