*開催レポート* 4/15 日本の伝統的な作法と国際マナーを熟知したマナーコンサルタントが教える 「品のある大人の女性になるために身に付けたい5つのこと」<書き起こし>

今回は、(一社)全日本伝統文化後継者育成支援協会(通称ZENDEN)と女子未来大学の共同企画として、社会や世界に出ても恥ずかしくない品のある大人の女性になるためのマナーを学ぶ授業を開催しました。
  
講師は、大手CA養成スクールでメイク、立ち居振る舞いの講師を勤めた経験から「礼儀正しさ」「心遣い」「品格」を身に付けるマナーや「おもてなし」の心についても教えているマナーコンサルタントの松井千恵美さん。
  
お宅を訪問する時のマナーや、お茶席に招かれた時の基本所作など、お相手に失礼のないコミュニケーションについて中心にお話しいただきました。
  
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品のある大人の女性になるために身に付けたい5つのこと

  
松井:皆さん、こんにちは。松井千恵美と申します。今日皆様に出会えたことに感激しております。
  
私はマナーを仕事にするようになって、女性にとってマナーって本当に大事なものだなと感じています。なぜかと言うと、自由になれるから。皆さん、分からなくて恥ずかしい思いをしたくないから怖いんですね。式典とかセレモニーでもマナーを知っていると自分らしく楽しめます。
   
マナー本って山のようにあるじゃないですか。あんなにたくさんあるのに、なんでできない方が多いのか。それは実践がないからなんですね。頭では分かっていても体がついてこない。本番は誰も恥をかきたくないじゃないですか。だから、私が必ず言うことは、レッスンではたくさん恥をかいてくださいねって。今日は実践を伴うレッスンになりますけど、恥をかいてくださいね(笑)。
  
まず、皆さんは品というとどんなことをイメージされますか?
清楚な感じ、丁寧な感じ、色々あるかと思いますが、どれも内面からくるものなんですね。外見だけ整えることは誰でもできるんですよ。でも、本物って外見だけじゃないんですね。なので、内面ってとても大切なものでそれが品を醸し出します。
  
 最近、日本人が日本のことを段々わからなくなってきている。これは段々品がなくなっていくってことなんじゃないかなって危機感を覚えるんです。なぜなら、みなさんはそれぞれお名前をお持ちですよね。日本の中にいる時はそれぞれお名前で呼ばれますけど、海外に行くと名前じゃなくて「彼女は日本人なんです」とか、自分が日本のことを知ってるかどうかではなく、世界に出ると日本人代表のように見られちゃうんです。
 本当のエレガントな女性っていうのは、日本のことに通じている女性のこと
だと思うんですね。なので、今日はそういう側面からもお話しできればと思います。
  
  

和は「季節感」、洋は「時間と場所」を意識してファッションのTPOを考えよう。

  
 まずは品格のあるファッションのTPOについてお話しします。
 格式あるパーティーに呼ばれる時はドレスコードがあります。洋と和で違いがあるのですが、その違いというのは、和は季節なんですね。雪の振る季節に桜の着物は着ないですよね。なので、和装の基準は季節感です。季節感を大切にするのは日本独特の特徴として現在でも連綿と受け継がれています。
 どんなに暑くても衣替えの日より前に単衣を着ることは常識がないこととされていました。今は、時代とともにやわらいできましたけど、やはり知っているのと知らないのとでは大きく違いますよね。
  
 では、洋装の基準はなにかと言うと時間と場所なんです。なので、昼の装いと夜の装いって違うじゃないですか。西洋では時間帯に応じて着るものが決まっていて、その基準は今も守られています。服装というのは、その人の地位や人格を示す大きな目安にもなっているんですね。
  
服装のマナーとしては、民族衣装というのが実は一番の正装なんですね。なので、日本人だったら着物です。各国の民族衣装には、その国の長い歴史が込められていることを理解して、敬意を払うことが大事です。
  
では、パーティーの着こなしのマナーですが、パーティーなどの多くの人が集まる場では、服装は非常に重要な要素なんですね。なぜかというと、出席している人たちが同格であること、同じ価値観を持つ仲間であることを示すからです。格式あるパーティーに半分破れたような服で来られたら、ちょっと警戒心を覚えますよね、「この人は大丈夫なんだろうか」と。なので、きちんとしていると周りが安心するんですよ。外国のコミュニティでは、場違いな服装は日本人には想像できないほど避難のもとになると心得ておきましょう。
  
 そのため、欧米では子どもの頃から、正しいフォーマルウェアを着こなすよう躾けられています。服装は自己表現であると同時に、知性や教養、センスの集大成です。これだけグローバル化してきますと、自国の文化ももちろんなんですけど、世界のことも知っておかないと、気づかないうちに嫌な思いをしてしまうんですね。
  
 次にパーティーのドレスコードです。ドレスコードというのは男性が基準に書かれています。なので、迷ってしまう女性がいるんですね。
まず「ホワイトタイ」とドレスコードに書かれていたら、それは最高のセレモニーなんですね。男性は燕尾服、女性はローブデコルテやイブニングドレス。着物だったら、未婚女性は大振袖、既婚女性は色留袖といった第一礼装の着用を求められる非常に格式高いパーティーです。
  
 次に「ブラックタイ」、「フォーマル」。これは男性はタキシード、女性はそれと同格のローブデコルテやイブニングドレスです。着物の場合、未婚女性は中振袖、既婚女性は絵羽柄の訪問着です。ホワイトタイほどではないのですが、それに近いフォーマル度の高いパーティーです。
  
 次に「インフォーマル」です。男性はブラックスーツかダークスーツ、女性はカクテルドレス。着物ならば付け下げです。
  
 次に「平服」。平服って普段着のことじゃないんですね。平服って「略礼装」のことで、正式な礼装じゃなくて結構ですということです。男性だったらソフトカジュアルでも構いませんし、女性だったらワンピースとか。
  
宝石の付け方と格についてもお話しします。和装の場合は着物そのものが宝石のようにきらびやかなものなので、宝石は付けなくていいんですよ。和って引き算なんですよ、洋は足し算。なので、着物だったらイヤリングもなくていいんです。お茶席だったら、結婚指輪も外します。最近は指輪を付けたりソフトになってますけどね。
  
 ドレスはどうかというと、なんであれほど胸元が開いてるかっていうと、宝石が主役なんです。宝石の格は国によって違うんですが、日本ではダイヤモンド、エメラルド、ルビー、サファイア、パールを五大宝石と呼びます。宝石のルールは服装と同様に時間と年齢によります。なので、昼間はパールなどの半透明なものをつけます。夜はダイヤモンドのような輝きが強いものを付けます。年齢を重ねれば、大きくランクの高い宝石でいいんですけど、若い時はあまり豪華なものは付けない方がいいとされています。
  
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マナーは相手を大事に思う気持ち

  
 次は、立ち居振る舞いです。まず、正しい姿勢を身につける。一番意識しやすいのは壁を使うことです。壁に後頭部、両肩、お尻、かかとをつけます。そのときに息を吸うと肩甲骨も壁について、バストも上がります。そして、おへその下の丹田に力を入れて、あごを引きます。そうすると、きれいに見えますよね。
  
 美しい椅子の座り方、立ち方も実践してみましょう。左から座って左から出るというのがマナーと言われています。椅子の前に立ったら、利き足をちょっと引きます。そうすると、椅子がふくらはぎに当たりますよね。そうしたら、そのまま真っすぐに座ります。この座り方って、食事に行った時にウェイターさんに案内されて椅子を引いてもらった時もきれいに見えるんですね。サービスを受け慣れているように見えます。
  
 次にお辞儀の仕方。お辞儀は3種類あると言われています。会釈(15度)、敬礼(30度)、最敬礼(45度)。皆さんが日常的に使うのは敬礼です。敬礼の際に基本になるのが先ほどお話しした姿勢です。真っすぐな姿勢のまま上半身を倒します。
 言葉を発してからお辞儀をするという形もあります。同時礼と分離礼というんですが、同時礼というのは言葉とお辞儀が同時です。分離礼というのは言葉が先でお辞儀が後です。分離礼の方が丁寧な印象を受けますので、重要なセレモニーの場合は分離礼の方がいいですね。
  
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 そして、笑顔で挨拶しましょう。笑顔は相手をお迎えする最高のメッセージです。笑顔を向けられて嫌な思いをする人はいないんです。また、笑顔は1円もかからないおしゃれです。
  
マナーって相手を大事に思う気持ちを形に表しています。どんなに大事に思っていても形に表さないと相手に伝わらないですよね。その形が洗練されていったものがマナーだと思います。なので、マナーを知っていると、人との軋轢が少なくなると思います。
  
  

自分の印象を決める話し方。あなたはどんなふうに印象づけたい?

  
次はエレガントな話し方なんですが、まず印象力と言って、どういう印象を人に与えたいかという自分の印象を自分で決めちゃうんです。
 これは心理学的に大きく分けて3つになるんですが、1つは信頼性、もう1つが力動性、そして3つ目が感情性です。信頼性を与えたいというときは、具体的には社会的望ましさなんですね。この人は信頼できるとか、きちんとしている、誠実、知的とか、この社会的望ましさを印象付けたい場合が信頼性。2つ目の力動性は、活動的な印象。力強い、積極的、鋭い、リーダーシップがあるという場合ですね。そして3つ目の感情性は親しみやすさなんですね。話しかけやすい、優しい、親切。自分がこの中のどれを印象として与えたいかということなんですね。
  
力動性というのは、政治家に多いですね。話し方のテンポが早いんです。そういう話し方をする人に親しみやすさって湧かないんです。じゃあ、どういう人に親しみやすくなるかっていうと、ゆっくりなんです。これが感情性ですね。では、信頼性はと言うと、ゆっくり➡早い➡ゆっくりなんですね。これはNHKのアナウンサーがそうなんですね。例えばニュースの時に簡単な紹介をして、最初はゆっくりなんですよ、それから本題に入る時にちょっと早くなるんですね、そして最後に結びが少しスローダウンするんです。その話し方で信頼性を高めるんです。
そして今度は、手の動かし方なんですね。力動性の場合ですと、手は胸より上です。感情性の場合は、胸の少し下あたり。信頼性の場合は、胸のあたりなんですね。
  
  
  

「立ち居振る舞い」は美しい日本の伝統文化

  
次に和室のマナーです。和服を着て畳の上で生活するのが習慣だった日本人は、座る、立つ、歩くという動作を「立ち居振る舞い」という言葉であらわして、その美しい日本の伝統文化を大切にしてきました。まず、ふすまの開け方、閉め方なんですけど、これは流派によって違います。一般的なこととして、まず襖に手をかけるところがありますよね。その手をかけるところが近い方の手で3分の1くらい開けます。それから手を変えて、残りの襖を開けます。2回で閉めるんですね。
  
お茶席に招かれた時の基本所作です。お茶席には立礼(りゅうれい)というのがあるんですね。立礼というのは、お客様が椅子に座って、お茶をたてる方も長いテーブルのようなところで座ってお茶をたててくれる。最近ではそういうところも多いです。先にお菓子が出てきたときは、お茶を待たずにお菓子を先に召し上がります。お菓子の返しってみたことありますか?白い和紙のような紙なんですけれども、和食のテーブルマナーで使うとエレガントな感じになるんですね。また、いろんな物に使えるんです。ちょっとしたメモ帳にも使えますし、食事の時に返しでお魚の頭を抑えるとか、手皿はNGなのでお刺身の時には、返しを小皿代わりにして持ったりとか、その所作がすごく綺麗に見えるんですね。日本人って返しの使い方を知っていると良いなと思います。返しでお菓子をいただいた時に黒文字という木でできた楊枝の少し大きいサイズのもので切って、和のものは切るときは縦横なんですね。最初に縦に切って、横に切って一口サイズにしていただきます。そして、お饅頭とかは黒文字を使わずにそのままいただいて良いんですね。流派によっていただき方は違いますが、食べ方としては返しを使っていただきます。
  
そしてお茶が来ます。よく見かける光景で茶器を回してるじゃないですか。あれはなぜ回しているのかというと、お茶の茶器って素晴らしいものを用意してくださっているんですよ。ですから指輪とかアクセサリーは全て傷つけないように外すんですね。茶器の正面をお客様に向けて出してくれるんですが、その正面に口をつけることを避けるために茶器を回しているんです。2回回すとかは流派によって違いますが、どちらにしても正面に口をつけるのを避けて回していただきます。いただくときは3口〜3口半でいただきます。そのくらいの量なんです。一口では飲めません。最後にズッと吸いきるんですけれども、よくその音にびっくりしてしまうんですけど正式なんですね。なぜ吸いきるかといとその茶器を拝見するためなんですね。残っていると拝見できないですし、いただいたお茶を最後までいただくというのと思いやりの心です。最後に、口をついた部分を指で拭うんですね。そして、その部分をまた返して拭いて、着物の場合は袂に全て入れるんですね。お茶は元の主人に返します。正面を向けて返すので、また茶器を回して戻すんですね。茶器を拝見するときは、高価なものだから落としたらいけないので、低い姿勢でみます。一つ一つのことに対しても大切に扱っているという心の形を表します。これができれば素晴らしいです。
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身だしなみは相手への敬意

  
ここから、皆さんのご質問にお答え致します。
  
質問:この前ベトナムのセレモニーに参加して、着物を着て行ったんですが、アオザイを着る選択肢はあるのかなと思って。相手側の民族衣装を招かれた別の国の人間が着るっていうのは相手からどう受け取られるのかっていうのを教えていただけたらと思います。
 
松井:これは相手の立場になって考えると良いんですね。ご自分が招く立場だったとします。日本のセレモニーとして外国の方を招いていた。その時に相手の方が着物を着てきた。これはありだと思うんですね。例えばその時に気をつけて頂きたいのは、よっぽどその国の文化を知っているっていうことが根底にあること。もし、その国の衣装を正式な場できるのであれば、かなり深くその国の歴史や文化をしっかり知っておくということが必要だと私は思います。
  
  
質問:靴の脱ぎ履きに関することでお伺いしたいのですが、まず一つがブーツのときはどうしたら良いのかなということと、サンダルと素足の時にストッキンとか靴下を履くタイミングをいつにしたら良いのかを教えていただけたらと思います。
  
松井:ブーツとかは冬場はよくあることなんですね。まず、ブーツの場合は一言「失礼いたします」と言う。何か自分が失礼な行動を取る時には前もって「失礼いたします」という言葉を発するんですね。そうすると心得のある人なんだなと思います。本当は少し腰掛けられるとこがあれば上手に脱いで、行為自体が美しく、大きな動作にならないようにします。大きな動作っていうのは周りの空気を動かしてしまうんですよ。そして、揃えるときもブーツが偏ってしまうことがあるんですね。その偏ってしまった方を玄関側に向けるとかそうしたちょっとした心得で違います。
そして、ストッキングを履くタイミングは、ストッキングでしたら前もって履いて行ったら良いです。もうお宅にお邪魔するということがわかっているのであれば、どこかでストッキングを履いてしまう。靴下の場合は、和室だったら、玄関のところで失礼致しますと言って、隅の方で履かせて頂きます。和でないときはストッキングを持っていくのが一番良いです。和のものはお茶の時はストッキングでも白いソックスを持って行って履きます。本来でしたら足袋ですね。靴下っていうのは仰々しい和の席で使います。
  
  
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質問:着物のことなんですが、最近は季節が変わる前に着ても良いんですよとお店で言われたりするんですが、先生はどう思われますか。
  
松井:全体的にかなりカジュアル化してきているというのが事実なんですね。カジュアル化してきているということは聞こえは良いんですけれども、度を超えて崩れすぎるのはどうかなと思うんですね。ですので、正式な場ではやはり日本の文化として、守っても良いと思います。
おしゃれと身だしなみって違うんですね。おしゃれっていうのは自分の個性を引き出すものですから、これが似合うからこれを着るとかなんですが、身だしなみっていうのは相手に対しての敬意なんです。ですから、そこには自分の趣味嗜好とか流行とかは関係なく、相手に対しての敬意としてその格好をするんですね。わかりやすく言えば、セレモニーとか式典は身だしなみなんです。二次会とかパーティはおしゃれなんですね。セレモニーとか式典でしたら、やはり相手を敬うということで考えられて、二次会とかパーティとかおしゃれしていい場でしたら、ちょっと暑いから季節変わる前に早めに着てというのも良いかと思います。
  
  
質問:先ほどの実践編をしていて思ったんですが、やはりこれをこういう風にしようとか頭ではわかっているんですが、なかなかできなくて、普段の振る舞いとしてどういう心構えでいれば良いのかっていうのを教えて頂きたいです。
  
松井:普段大切にすることは、自分を大切にすることです。自分を大切にできない人には相手も大切にできないんですね。例えば、食事のマナーも、まず自分のためにも一回の食事で良いから食事のマナーを気をつけて自分のために食べてみましょう。全部相手のためですが、深い部分では自分のためなんですね。自分を大切にすることは相手を大切にすることにもなるので、一番気をつけるのは自分を大切にすることです。
  
  
こうやって知識だけでも知っているとすごく安心できるんですね。マナーってとっても楽しいです。女性にとっても必要だなと思います。今日は短い時間だったんですけれども、皆さんとても優秀で私の方が恐縮してしまいました。本日はありがとうございました。