【女子未来大学 授業レポート】老舗料亭 濱田家女将に教わる、いつまでも上品で美しい女性でいるための美容学〜後編〜(書き起こし)

4月9日、女子未来大学では、100年以上の歴史を誇る老舗料亭「玄冶店 濱田家 (げんやだなはまだや)」を会場に、女将の三田啓子さんから「女性の本当の美しさとは?」「家族の在り方で大切なこと」「日本の心やもてなしを知り、それを日々に活かしていくためには?」などのテーマで、女将流の美容哲学を教えて頂きました。

前編の授業レポート(書き起こし)はこちらから。

今回は後編として、第2部の、濱田家女将の三田啓子さん、株式会社エスプレシーボ・コム 代表取締役 安東徳子さんに、女子未来大学ファウンダーの猪熊真理子を加えたトークセッションをお届けします。

<第2部 トークセッション>しなやかに美しい女性になるための秘訣

三田 私のお話ばかりではなく、若い方の考え方も教えて頂きたいですね。
 
安東 女子未来大学ファウンダーの猪熊真理子さんをお迎えして第2部始めたいと思います。猪熊さんここまでいかがでした?
 
猪熊 実は初めて女将さんにお会いするのですが、本当に清らかで女優さんのようなオーラをお持ちで。お育ちになっていく段階から美しさの芯をお持ちだと思うのですが、そこにしなやかさやチャーミングさとか、ポジティブな姿勢が足されて、どんどん磨かれていくと、こんなに美しい女性になるんだなと思いながら、お話伺っていました。
 
安東 女将さんの素敵なところって、ただ綺麗じゃなくて、少女のような透明感があるんですよね。普通は30歳くらいで失っちゃうと思うんですけど。
 
猪熊 そうですね。悩みや苦労があった時に「もういいや」となってしまうと、どんどんネガティブな方に行ってしまったりすると思うんですが、克服するには凄い強い力が必要かっていうと、意外と柔らかいしなやかな力も大事だなと思いますね。
 
 
 

最初から幸せな結婚はない。幸せな結婚にしようという積み重ねが大事。

安東 女将になったきっかけは結婚ですよね。今でもラブラブだとお聴きしてますけど。
 
三田 全然(笑)。
 
安東 若い女性にとって結婚ってすごい大きいものだと思うのですが。
 
猪熊 女性のライフスタイルって本当に多様化してるので、結婚するかどうかも選べる時代になりつつありますよね。
 
安東 2030年には女性の2割は結婚しないそうです。
 
猪熊 今日いらっしゃってる方で結婚されている方ってどれくらいいらっしゃいますか?
半分くらいですかね。私はまだ未婚ですが、啓子さんの中でも大きな転機となった結婚なんですが、女性が輝いていく中でどうすれば幸せな結婚に近づけるのかヒントがあればお聴きしたいです。
  

 
安東 女将さんが福岡から東京に出てもいいという覚悟ができたのは、旦那様にそれだけの何かがあったということですよね?
 
三田 結婚って「弾み」と「錯覚」なんです。見る目なかったのかな(笑)
 
猪熊 どうやって出会われたんですか?
 
三田 私の時代はお見合いでございます。
青山学院の先生に凄くかわいがられていて。女性の先生なんですけれども、その当時、大学では和食だったら濱田家、洋食だったらマキシムという選べるマナーの講座がありまして、私はその時にマキシムを選びまして、濱田家は来たことなかったんですが。
 
でも、そういう関係で、先生は濱田家と懇意にしていて、「いい方いませんか?」ということで、先生から「あなた出てきなさい」と言われて、何も分からずに来たという感じです。
 
でもね、最初から幸せな結婚ってないんですよね。それよりも幸せな結婚にしようという努力や積み重ねが大事だと思うんです。最後に幸せだったなと思えればいいですし、パーフェクトな結婚なんてないと思うんですね。だから、気張らないし、期待もあんまりしない方がいいと思います。
 
色んな形があると思いますが、私は二つの円があって、それがピッタリ重なるなんてないと思うんです、他人ですしね。
 
どこかひとつでも価値観や育ってきた環境とか交わるところがあって居心地がいいなと感じれば、あとはお互い違うところを認め合うような仲であれば長続きするかなと。
夫はそれを認めてくれたし、私も夫の違う部分を束縛せずに認めてきたし。結婚は、思いやりとか努力とか忍耐ですよね。
 
安東 先程もありましたが、「人は変えられないから自分が変わる」っていうのは夫婦生活でも大事ですよね。夫を操縦しようとか思っちゃいけないですね?(笑)
 
三田 無理でしょうね(笑)。
昔の白無垢とかは「あなたの色に染まります」っていう意味もありましたけど、染まりませんよねぇ?(笑)
特に今の女性はキャリアウーマンですし、それを捨てることはしなくていいと思います。
 
私も息子がおりまして、お嫁さんも仕事を持っておりますけれども、それでいいと思うんです。子どもも1人おりますが、ベビーシッターとか考えながら一生懸命やっていますけれども、そういう世界があってこそ子育ても上手くいきますので、絶対に捨てることはないと思うんです。
  
自分が一生懸命生きてきたキャリアですもの。
たった一つの人生、これが私の人生だと言えるように、あまり我慢し過ぎずに。忍耐は必要かと思いますが。
 
ごめんなさい。これから結婚なさる方に夢も希望もない話を(笑)。
夫って日常になっちゃうじゃないですか、子どもができると子どものお世話が先になりますし。
 
猪熊 女将さんのお話をお聞きしていると、夫婦像も素敵だなと思うんですが、お育ちになったご家庭も愛情豊かであったかい家族ですよね。
 
私は、「家族」という価値観もこれからの未来においては変わっていくと思っているのですが、その中で女将さんはどういう家族をつくっていきたいと思い描いていらっしゃったのですか?
 
三田 親の愛情をいっぱい受けて育ってきましたので、私も仕事はしてますけれども、子どもにたくさん愛情を注ぎたいと思って一生懸命やってきました。
 
ですが、このあいだ下の娘が「私は小さいとき寂しい思いしたから、結婚して主婦になりたい」と言いました。一生懸命やってきたんですが、子どもの考え方は違うんだなとちょっと反省してるんです。
でも、言われてもしょうがないところはあったんですよね。やっぱり楽しいことは優先してやりましたから(笑)。
 
猪熊 私もたくさん女性に会う中で、大学生の時に持っているお母さんに対する印象と、自分が働きだして持つ印象と、女性たちが母親になって持つ印象で違うんじゃないかなと感じています。なので、娘さんが母親になられた時に「あぁ、お母さんすごく愛情注いでくれたんだな」とお思いになるのかなと思うんですが。
 

 
三田 子育て中でも自分の楽しみも優先してもいいかなと思うんですよ。だって自分が幸せじゃないと子どもに幸せは与えられないじゃないですか。できる範囲では自分も楽しいことをやりましょうと。
 
だから「ママは遊び人だ」とか言われましたけど、「ママが幸せじゃないとあなた幸せじゃないでしょ」とか張り合っていたこともあります(笑)。多少、許せる範囲ではいいんじゃないですか。
 
安東 今、子育てで悩んでる人は、女将さんにこういうこと言っていただけると楽になりますよね。

三田 昔は大家族で、色々と面倒見てくれる人がいたので楽なところもあったかなと思いますが、今の人はお仕事もしてるし、ご両親も近くに住んでなかったら大変ですよね。
でも、この間、知ったんですよ、インターネットで子育ても勉強できるんですよね。そういうのも新しい形なんだなと思いました。
 
 

些細なことからでも幸せは見つかる

 
猪熊 女将さんは、“これが私の幸せだ”とか“これをしている時が楽しい”っていうことをご自身でお分かりになられてるなと思うのですが、今を生きてる女性は“自分の幸せが何かわからない”って言う人が多くて、自分自身を幸せにできるモノやコトが見つかってないのかなとも思うのですが。
 
三田 幸せの定義で難しいですよね。形にないものですもんね。
 
安東 女将さんが子育ての時に遊び行ってたって言うのは、どういうことしてたんですか?
  
三田 マイケル・ジャクソンが大好きなんです(笑)。このコンサートは貴重だから行かせてねって言って行ってました。
 
猪熊 自分の心を喜ばせるものをきちんと知っていらっしゃるということですよね。
 
三田 自分が楽しかったら余裕もって子育てできますけど、余裕がないと「あんたのせいでしょ」ってなっちゃうので、本当は子どものせいでもないんですけどね。だから、自分も子育ても楽しみながらね。大変は大変だったと思いますよ。
 
安東 女将さんは“幸せ上手”なんですね。
 
三田 幸せを感じることを見つけてるっていうか、家族で食事してるだけでも幸せだなって思うんですね。

猪熊 感受性が高くてらっしゃるから、小さな幸せを感じられる。
 
三田 幸せってその辺にあると思うんです。桜見て綺麗だなとか、今日は清々しい天気だなとか。そういうのも幸せだなと思いました。今日は髪型決まって幸せとか、そういう些細なことじゃないかなと思うんです。
 
猪熊 一人一人がご自身の気持ちの持ち方で変えて行けるってことですかね。
 
三田 自分の考え方次第ですよね。
 
 
安東 女将さんは、お母様からは何か影響受けたこととか教わったことというのは?

三田 残念ながら私が21歳のときに亡くなったんです。
結婚する時にはもういなかったので全部自分でやって。嫁いでからも、「母が生きてたらな」と思うこともたくさんありました。だから、「女は長生きしなきゃ」って本当に思います。やっぱり、子どもたちにとってはお母さんは大事ですよね。
  
ママが元気じゃなかったら家庭は不幸せじゃないですか。女性がいきいきと生きていかないと幸せじゃないと思いますね。
 
猪熊 私も心理学を研究しているのですが、旦那さんの人生の幸福度は奥さんが幸せであるほど上がるんです。お母さんの幸福度が高いと子どもも幸せなんです。なので、女性が幸せだと男の人も子どもも幸せになる。
  
三田 女性には輝いていただきたいですよね。海外とか行っても、やっぱり日本は素晴らしいなと思いますよね。これだけの文化もあって世界一ですよね。
 
猪熊 そういう小さな幸せを気づける力とか、自分自身の幸福に変えていける力というのは一生ものですよね。
 
安東 女将さんの魅力って、努力に悲壮感がないところだと思うんですよね。
  
三田 楽しいこと、幸せなことを見て行こうと。それを自分の顔に反映しようと。
ちょっと前までは宝塚にはまってたんです(笑)。
 
皆さんはね、凄いお仕事いっぱいなされてると思うので、大変なこともあって、私の話で参考になるかわからないんですけれども。難しい頭を使う仕事も多いでしょうし、女将は気を顔くらいしか使いませんので(笑)。
 
ただ、空気を読むのは大事で。このお客様は今何を望んでいらっしゃるかなというのは常に気を遣ってます。
だから、サービスというのはやってあげるんじゃなくて、相手が居心地がいいようにしてあげることを察する心が一番大事かなと思います。今も、おもてなしと言いながら過剰なサービスもございますけども、too muchと思うこともありますよね。ここでは、さりげないもてなしと、今日は良い1日だったと言ってもらえることが私たちの一番の励みなんです。
 
おじいさまでも女性に関心があって、ちょっと手抜きの髪をしてると「今度はもっと綺麗な髪でいてね」とか「手が荒れてるね」とか言われるんですよ。そういう時は「あ、いけないいけない」と思って反省するんですけど。
男性って見てないようで見てる。それをおっしゃったのは90歳のおじいさんなんですよ。
 
安東 猪熊さん、今度女子未来大学で女性をきれいにする男性講座をやるっていうのも良いですね。
 
 

光り輝くと必ず素敵な方との出会いがある



 
安東 女将さんの素晴らしいところは、今現在が美しいというところですよね。
 
猪熊 今が今までで一番美しいという、「右肩上がり」の美しさですよね。それが、女性の一番の理想じゃないですか?今が一番美しいというのが。
 
三田 若さはないですから、それを補うものを持ってないといけませんし。

安東 女性も30歳くらいまではチヤホヤされるじゃないですか?でも、段々チヤホヤされなくなると、どうすればいいのかわからなくなる。
 
私は、「もう仕事を頑張ろう」と思って、綺麗は怠けちゃったところがあるんですけど、今日の女将さんのお話を聞いて、ちゃんと積み上げていけば、年をとっても綺麗でいられるんだというお手本だなと思ったんです。
 
三田 唯一、私の救いは、濱田家のお客様は皆さんご年配で、私が30歳になっても40歳になっても「君は若いね」と言っていただけたので。何て良い職場だろうって思いました。まだ、若いって言われるんだぁと(笑)。
 
今は、「昔は綺麗だった」と言われたくないために、やってます。
 
でも、業界の言葉にはなるのですが、このあたりは芸者さんなども関わりが深いので、その時に“景色”と“捌き”っていう言葉があるそうなんです。“景色”というのは見えていて美しい女性のことを指すのですが、それだけではだめで、もっとベテランの“捌き”が上手い女性が場において大事になってくる。景色が綺麗なだけじゃだめで、捌きが上手じゃないとね。
 
安東 まさに30歳前後の女性は“景色”から“捌き”への移行の準備ですよね。
 
猪熊 30代に入っていく時に中身を磨かなかったら焦りますよね。仕事でも、スキルとか実力をつけていかないと。若さは失って行くものというのがあるので。中から積み上げていかないとっていうのはありますよね。
 
三田 私も上の方を見て学ぶっていうのは良いかなと思いますね。
 
岸恵子さんって80歳くらいの女優さんなんですが、先日お見えになったんです。
私はその席に居られなかったんですけど、岸さんが「もう20年若かったらもっと色々できるのにと」おしゃってたそうで、20年若かったらちょうど私くらいの年なんですけど。ということは、私よりもっと若い方たちは何だってできるんですよ。
 
なので、今ある時間を無駄なく色んなこと吸収して、もし出会いが今なかったら違う面で蓄えて、光り輝くと必ず素敵な方との出会いがありますよね。焦らず、いくつになったっていいんですよ素敵な方と出会えれば。
 
猪熊 自分を磨いていくっていうことが大切だってことですよね。
 
安東 女将さんは必ず「自分のできる範囲で」って言う言葉をお添えになるんですが。
 
三田 そうですよ。上を見ればきりがないし。
 
安東 それもご自身のこだわりですか?
 
三田 人造的な美しさは美しくないと思ってますので。
ある程度お年召されてるのに、皺もなかったら私は魅力的ではないと思うんです。やっぱり、お皺とかあって、そこに魅力的な人生を過ごされたんだなと敬意を表しますね。
 
安東 顔に全部でてくるってことですね。
見たもの触れたものが良いものだったら皺も魅力的になるし。それが右肩上がりの美しさに繋がるんですかね。
 
さっき“景色”と“捌き”というお話がありましたけど、“捌き”の中には立ち居振る舞いというか動きの美しさがあると思うんですが、そういうものを身につけるために気をつけていることはございますか?
 
三田 皆さん見てらっしゃいますので、緊張はしてますよね。
 
猪熊 見られている意識を持つということですね。美しい方を見て真似るということもあるんでしょうか?
 
三田 もちろん。佐久間良子さんとかね。女優さんごとにバージョンがありますから(笑)
 
安東 女優さんごとの癖とかあるんですか?
  
三田 話し方とかね、息の吸い方とかね。ちょっと話に間を置いたりとか。あとは聞き上手。
  
猪熊 女将さんは「人」がお好きでいらっしゃるんですね。だから、よく観察をされていて。
  
三田 興味があるから。良いところは取り入れたいですよね。あとは、見られていないようで見られているので、ちゃんと意識なさって。
 
 

「山あり谷あり」。嫌なことがあっても、必ず良いことがある



 
安東 今日は女将さんの姿を拝見するだけでも大変刺激になったと思うんですが、皆さんそれぞれお仕事のこととかご苦労なさってると思うのですが、最後に激励の言葉や応援のメッセージを頂けたらと思うのですが。
 
三田 人生、絶対に「山あり谷あり」だと思うんです。嫌なことがあれば良いことがある。
 
だから、私は嫌なことがあったら「よかった。これで良いことがあるぞ」と思うんです。これもポジティブシンキングなんですけれども。だから、嫌なこともバネにして。
 
実際に3つ星もらったときは、本当に青天の霹靂で、当日まで分からなかったんです。私、その前に六本木で3回も車でぶつかって、車も大破したんです。「もう最悪」と思ったんですが、その後3つ星だったんです。「あの3回はこの3つ星かしら」と思ったんですけど(笑)。
 
なので、本当に嫌なことがあったら良いことがあるんだって、それを胸にされたら良いかなと思うんです。絶対に嫌なことばかり続かないし、でも、良いことが続いたら、ちょっと気を引き締めて、何かあるかもしれないから気をつけようとか。
 
安東 そうすると覚悟ができてるから受け止め方が優しくなりますよね。
 
三田 そうやって自分を大きく成長させて素晴らしい素敵な女性になられたらなと思います。日本は女性で保ってますからね。
 
安東 猪熊さんから何か最後にお聴きになりたいことは?
 
猪熊 聴きたいことは皆さんもたくさんあると思うのですが、ひとつはこうやって生きていらっしゃる女性がいるというのは、私たちからしても勇気になると思うんですね。
 
ロールモデルというか憧れられる女性を見て、「美しいな」と思うことが何よりも原動力だなと思いましたので、今日お会いさせていただいたことが有難いことだなと思いました。
 
三田 少しでもお役に立てたことがございましたら、それこそ今日は幸せです。ありがとうございました。
 
 
 
老舗料亭の女将としての品格はもちろん、どこかチャーミングな雰囲気もお持ちの三田啓子さん。
 
授業後の交流会でも三田さんの周りには、相談したい人、一緒に写真を撮りたい人の列が途切れませんでした。その中でも一人ひとりと親身にお話しする姿はとても印象的で、トークセッションの最後に「少しでもお役に立てたら幸せ」とおっしゃっていた、そのままのあたたかさを感じました。

自分のできる範囲で努力を積み重ねる三田さんの姿勢に、多くの人が将来の自身の理想像を重ね合わせていたのではないでしょうか。


 
改めまして、今回ご協力いただいた濱田家さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。